アクティブボード・9月

熊本大学・遺伝子実験施設
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2002年 8月31日 更新


アクティブボード・2002年 9月

研究発表を行った学会;第55回日本細胞生物学会大会
2002年5月21日〜23日(横浜)
タイトル;ヒト上皮細胞への nontypeable Haemophilus influenzae感染に伴う toll 様受容体2 の発現調節シグナル伝達機構
発表者;首藤 剛 氏
   (薬学研究科 遺伝子機能応用学講座)
Abstract;
 nontypeable Haemophilus influenzae (NTHi) の上皮細胞への感染は,種々の炎症性疾患を引き起こす.しかしながら,NTHi 感染機構の詳細はいまだ明らかではない.近年,我々は,NTHi の上皮細胞への感染によって起こる NF-_B の活性化に Toll様受容体 2 (TLR2) が重要であることを明らかにした (Proc Natl Acad Sci U S A.2001).しかしながら,TLR2 の上皮細胞における発現量はリンパ球系細胞のそれに比べ,非常に少ない.そこで,NTHi の上皮細胞への感染によって TLR2 遺伝子の発現が上昇しているか否かを検討した.その結果,NTHi 感染は,上皮細胞におけるTLR2の発現量を上昇させた.また,この発現上昇機構の一部に NF-kB が正に関与していることが明らかになった.一方,MKK3/6-p38 は,TLR2 発現上昇を負に制御していることが示唆された.また,デキサメタゾンは,p38 を抑制することにより NTHi 感染によって誘導される TLR2 の発現上昇を増強することが明らかとなった.本知見は,NTHi 感染やグルココルチコイド製剤による TLR2 発現調節機構を明らかにした最初の報告である.


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