アクティブボード・2002年 9月
研究発表を行った学会;日本発生生物学会第35回大会
2002年5月21日〜23日(横浜)
タイトル;卵胎生メダカの交接器:性ホルモン依存性の付属器官形成
発表者;荻野 由紀子 氏
(動物資源開発研究センター 技術開発分野)
Abstract;
外性器の形態は生物種によって大きく異なる。カダヤシ(Mosquitofish:Gambusia affinis)の雄は、尻びれが変形した交接器(gonopodium)を有している。Androgenの影響下で二次性徴として現れるgonopodiumは、哺乳類における外性器と同様に繁殖効率を左右する重要な器官である。gonopodiumの形成は、外性器と鰭の起源、ならびに性ホルモンの制御を受ける器官形成過程を考察する上で興味深い。
本研究では、鰭が性ホルモンによって特化する機構を明らかにするために、カダヤシ稚魚にAndrogenを投与し、gonopodiumの形成を誘導した。Androgen投与により、gonopodiumの主要部分を構成する尻びれ第3鰭条が肥大し、第3、4、5、6鰭条が顕著に伸長した。これらの鰭条先端部の間葉および上皮基底層では細胞増殖が認められた。Androgen Receptor (AR)遺伝子は、鰭条先端部の上皮と間葉に発現しており、伸長に伴い上皮基底層におけるshh遺伝子の発現が亢進した。これらの結果は、Androgenによって鰭条形成が誘導されたことを示唆している。また、各鰭条の伸長の違いがどのように制御されているのか、現在解析を進めている。
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