アクティブボード・10月

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2002年10月 1日 更新


アクティブボード・2002年10月

研究発表を行った学会;日本発生生物学会第35回大会
2002年5月21日〜23日(横浜)
タイトル;遺伝子トラップ法により得られたimportin beta遺伝子変異マウス(Ayu8108)の解析
発表者;三浦 克尚 氏
   (発生医学研究センター 器官形成部門 臓器形成分野)
Abstract;
 マウスES細胞を用いた遺伝子トラップ法は発生・分化に関与する未知遺伝子単離、さらに挿入変異による遺伝子の機能解析に有効な手段である。我々はbeta-geoを利用したトラップベクターで遺伝子トラップを行い、挿入変異マウス(Ayu8108)を樹立した。
  Ayu8108マウスラインでは、胚性期からlacZの発現を全身にみとめ、heterozygoteは外見上めだつ異常はなく、発育、生殖能力も正常である。しかし、homozygoteはE7.5以前に致死となることがわかっている。プラスミドレスキュー法により得られたプラスミドのシーケンス情報からAyu8108マウスはimportin beta遺伝子のintron部分に逆向きに挿入されていることがわかった。しかし、lacZが発現していることから、トラップベクターの挿入部位に別の遺伝子が存在していることが示唆され、5'-RACEや3'-RACEによる解析を行ったが、別の遺伝子の存在は考えにくいことがわかった。このことから胚性致死の原因として、トラップベクターの挿入によりimportin beta蛋白の機能に障害が起こることが予想され、詳細を解析中である。


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