アクティブボード・2002年11月
研究発表を行った学会;第75回日本生化学会大会
2002年10月14日〜17日(京都)
タイトル;NO刺激したp53欠損ミクログリアにおけるCHOPとアポトーシスの誘導
発表者;川原 浩一 氏
(熊本大学・薬学部・生体機能学講座)
Abstract;
【目的】一般にNO毒性は、ミトコンドリアの機能不全やDNA障害/p53経路を介して起こると考えられているが、その細胞死機構は十分には解明されておらず、標的が何であるかも分かっていない。最近我々のグループは、NOによる膵β細胞アポトーシスが小胞体ストレス経路を介することを報告した[1]。今回p53ノックアウトマウス由来のミクログリア細胞株MG5を用いて、NO毒性のメカニズムについて解析した。
【方法・結果】MG5をLPS/IFNγで処理すると、iNOSが誘導され、アポトーシスが起こった。この時、小胞体ストレス誘導性アポトーシスに関与するCHOP/GADD153が誘導されることを見い出した。またCHOP mRNAは、NO放出試薬であるSNAPやNOC18、あるいはperoxynitrite放出試薬のSIN-1により誘導された。さらに、小胞体ストレスで誘導されることが知られるBip/Grp78 mRNAもまた、SNAPあるいはSIN-1によって誘導された。
【総括】以上の結果より、MG5におけるNO依存性アポトーシスは、CHOPの誘導を含む小胞体ストレス経路を介して起こっており、p53とは無関係であることが明らかとなった。
[1] Oyadomari, S., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98, 10845-10850 (2001)
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