熊本大学
生命資源研究・支援センター
遺伝子実験施設
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2003年 7月 7日 更新
アクティブボード・2003年7月研究発表を行った学会;第36回日本発生生物学会2003年 6月11日〜13日(札幌) タイトル;神経系に発現する新規分泌タンパクをコードする遺伝子の解析 発表者;岡藤 辰也 氏 (熊本大学 大学院医学薬学研究部 神経分化学分野) Abstract; 我々は神経系の発生過程における細胞間相互作用に注目し、シグナルシークエンストラップ法を用いて、神経系の初期発生過程に発現する分泌型および膜結合型タンパクをコードする新規遺伝子のスクリーニングを行っている。本大会では、これまでのスクリーニングで単離された新規遺伝子の1つ 12D3 について報告する。アミノ酸配列から、12D3 は既知のモチーフをもたない新規の分泌型タンパクであることが推測された。実際に MycHis タグを付加した 12D3 cDNA を COS-7 細胞に導入したところ、培養上清に 12D3-MycHis タグタンパクが検出された。 次に 12D3 の発現を in situ hybridization で解析した。すると 12D3 は神経系において発現パターンをダイナミックに変化させることが明らかとなった。また、原始線条 (primitive streak) や体節の背内側に接した外胚葉においても発現が見られた。さらに 12D3 遺伝子の機能を解析するため、 in ovo エレクトロポレーションによる 12D3 の異所的な強制発現を行ったが、神経管において大きな変化は見られなかった。そこで siRNA 発現ベクターによる遺伝子抑制系を試みた。12D3 に対する siRNA 発現ベクターを構築し、C0S-7 細胞で 12D3-Myc タグ融合遺伝子の発現を抑制するコンストラクトを用いてニワトリ胚脳胞に in ovoエレクトロポレーションで導入した。すると、一部の胚において視蓋がコントロール側と比べて小さくなった。この結果から、12D3 は視蓋の細胞の増殖あるいは生存の制御に関わる可能性が示唆された。 |