熊本大学
生命資源研究・支援センター
遺伝子実験施設
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2003年 8月 7日 更新
アクティブボード・2003年8月研究発表を行った学会;第36回日本発生生物学会2003年 6月11日〜13日(札幌) タイトル;ナメクジウオ類新規Sox遺伝子、BbsoxC 発表者;池永 薫 氏 (熊本大学 発生医学研究センター 系統発生分野) Abstract; ナメクジウオ類の内胚葉マーカー遺伝子を得るため、ヒガシナメクジウオsox17のクローニングを試みた。アフリカツメガエルXsox17αのHMGボックス断片をプローブにして、前期原腸胚由来のcDNAライブラリーをスクリーニングした。得られたヒガシナメクジウオsox遺伝子をプローブにして再度スクリーニングを行った。その結果、15のsoxクローンを得たが、すべて同一遺伝子由来であった。このクローンについて、系統解析と発現解析を行った。単離した遺伝子は、既に報告されているフロリダナメクジウオのAmphiSox1/2/3とは、HMGドメインのアミノ酸レベルで64%、Xsox17αとは57%、脊椎動物のSoxCグループとは80%以上の類似性を示すことから、BbsoxCと呼ぶことにした。BbsoxCの発現は、初め中期原腸胚において、原口唇と陥入する原腸にみられた。中期原腸胚では原腸背側の広い範囲および原口唇で発現するとともに、新たに予定神経板領域の前方半分で発現した。このパターンは前期神経胚まで継続した。中期神経胚では神経板の両側および前端と後方1/4の領域に強く発現し、原腸の前端と後端でも発現が見られた。発生の進行に伴って発現領域は縮小し、後期神経胚では神経索前端と左側の側憩室で発現した。幼生期に入ると前方で左側特異的な発現が認められ、48時間幼生ではすべての発現が消失した。BbsoxCはAmphiSox1/2/3とほぼ同時に発現するが、予定神経板領域の前方で発現して後方で発現しない点や、原腸での発現も見られる点が異なる。また予定神経板領域の後方で発現するBbwnt7によって、後期原腸胚の予定神経板領域に前後2つの領域が確認できる。BbsoxCは初期原腸で発現するが継続した発現は見られず、内胚葉マーカーとしては不適であるが、初期中枢神経系前方のマーカーとなり得る。 |