熊本大学
生命資源研究・支援センター
遺伝子実験施設
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2003年 9月 1日 更新
アクティブボード・2003年9月研究発表を行った学会;第36回日本発生生物学会2003年 6月11日〜13日(札幌) タイトル;Cerberus/DAN関連分子DanaeはBMPアンタゴニストとして作用する 発表者;勝 賢二郎 氏 (熊本大学 発生医学研究センター パターン形成分野) Abstract; Cerberus/DAN関連分子群はBMPアンタゴニストにおける主要グループを形成している。我々はニワトリ胚よりCerberus/DAN遺伝子ファミリーに属するDanaeを同定し、発生過程における機能解析を行っている。これまでにDanaeの時間的・空間的な発現パターンや、Danaeの発現がShhによって誘導されること、Danaeを異所的に発現させることによりCaronte、Nodal、Lefty-1といった左側特異的な遺伝子群の発現を誘導することなどから、ニワトリ胚の左右軸形成過程において、DanaeがShhシグナルとその下流の左側特異的な遺伝子発現を媒介する分子であることを示唆する結果を得ている。 今回我々は、Xenopus胚を用いてDanaeのBMPアンタゴニスト作用について検討した。まずXenopus胚にDanae RNAを注入したところ、背側化した胚が得られた。さらにDanae RNAを注入した胚のanimal capでは、anterior dorsal marker(otx2、N-CAM)の発現が誘導された。その際、Bmp2 RNAを同時に注入することにより、これらanterior dorsal markerの発現が抑制された。また、Bmp2 RNAのみを注入した胚のanimal capでは血球系の分化が生じてa-globinが誘導されるが、同時にDanae RNAを注入することにより、a-globinの発現が抑制された。以上のように、Xenopus胚を用いたアッセイ系において、DanaeとBmp2は互いの効果を打ち消す作用を持つという結果が得られた。これより、Danaeがin vivoで実際にBMPアンタゴニストとして作用することが強く示唆された。 |