アクティブボード・2003年10月

     ・・・・・2003年10月2日更新・・・・・

研究発表を行った学会;第36回日本発生生物学会
2003年 6月11日〜13日(札幌)
タイトル;新規zinc-finger遺伝子をトラップした変異マウス(Ayu8008ライン)の解析
発表者;吉信 公美子 氏
   (熊本大学 生命資源研究・支援センター バイオ情報分)
Abstract;
 マウスES細胞を用いた遺伝子トラップ法は、発生・分化に関与する未知遺伝子の単離と、挿入変異による遺伝子の機能解析に有効な手段である。可変型遺伝子トラップベクターpU-Hachiを用いて樹立されたAyu8008ラインについて報告する。
 レポーター遺伝子であるbeta-geoは、E8.5とE9.5では卵黄嚢・体節・心臓・尾芽に、E13.5とE15.5では 脳・心臓・筋に 発現していた。成体では主に脳・心臓・肺・腎臓・精巣・皮膚に発現していた。
 トラップされた遺伝子は、新規遺伝子であり、いくつかのEST配列と相同性を示していた。RT-PCRにより、alternative splicingによって生じたと考えられる2種類のtranscript(Ayu8008alpha,beta)を検出した。5'RACE及びcDNA libraryで得られたAyu8008a cDNA は、834アミノ酸残基から成るタンパクをコードしており、zinc-finger motifが存在していることが分かった。また、トラップベクターは、Ayu8008alpha,betaの開始コドン上流のイントロンに挿入されていた。
 phenotypeの解析では、heterozygoteは正常だが、homozygoteは解析した世代により異なるphenotypeを示した。homozygote(F1×F1)は、顕著な異常は見られなかった。しかし、homozygote(F3×F3)は成長障害を示し、さらにhomozygote(F8×F8)では、生後1.5日目までに致死となった。現在致死の原因を解析中である。


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