研究発表を行った学会;第62回日本癌学会 総会
2003年 9月25日〜27日(名古屋)
タイトル;Aurora キナーゼファミリーによるCENP-Aの分裂期特異的リン酸化とその染色体安定性における役割
発表者;國徳 尚子 氏
(熊本大学 大学院医学薬学研究部 腫瘍医学分野 and 脳神経外科学分野)
Abstract;
細胞分裂期における正確な染色体の分配は、染色体の安定性を維持する上で重要である。Auroraファミリーは、分裂期の進行に重要な分裂期キナーゼとして知られている。また、Aurora-AとAurora-Bは共に多くの癌で過剰発現が見られており、その癌細胞における役割が注目されている。近年私達は、Aurora-A結合蛋白としてセントロメア領域特異的なコアヒストンであるCENP-Aを同定し、また、CENP-AはAurora-Aによってリン酸化を受けることを昨年の本学会で報告している。今回、このCENP-Aのリン酸化がAurora-AとAurora-Bによって連続的に遂行されていることを見いだした。CENP-Aのリン酸化は機能的な動原体の形成に必要であり、このリン酸化が阻害されると分裂期において染色体の整列異常が観察された。以上のことよりAuroraファミリーはCENP-Aのリン酸化を介して細胞分裂に伴う確実な遺伝情報の分配を保証し、その調節異常により染色体不安定性が生じることが明らかになった。
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