アクティブボード・2004年4月

     ・・・・・2004年4月1日更新・・・・・

研究発表を行った学会;第25回日本分子生物学会年会
2002年12月11日〜14日(横浜)
タイトル;超音波とマイクロバブルを併用したニワトリ胚への遺伝子導入法
発表者;太田 将 氏
   (熊本大学 生命資源研究・支援センター 技術開発分野)
Abstract;
 遺伝子導入法は脊椎動物の胚発生に関わる遺伝子機能を解析する上で非常に有用な手段である。本研究において超音波とマイクロバブルを併用した遺伝子導入法であるソノポレーション法(Sonoporation)について報告する。超音波照射による細胞内への物質の導入の原理については、未だ正確なメカニズムは解明されていないが、超音波照射によって細胞の周囲に微細な気泡が発生するキャビテーションという物理現象が起こり、この気泡の生成と崩壊が繰り返され、気泡の崩壊時に発生する液体マイクロジェット流によって細胞膜に一過性の孔が開くことで細胞膜の透過性が上昇し、さらに細胞膜付近に存在する物質がマイクロジェット流により押し込まれるというメカニズムが提唱されている。この細胞内への物質の取り込みは低いエネルギーの超音波でもマイクロバブルを併用することによって効率良く物質を導入することが可能であると報告されている。我々は上記の現象を胚組織の遺伝子導入法として応用し、マイクロバブルと超音波を併用したニワトリ胚への遺伝子導入法を開発した。ソノポレーション法の遺伝子導入の操作は簡便であり、非侵襲的に遺伝子を導入する。さらにニワトリ胚の肢芽、鰓弓、側板中胚葉など様々な部位に遺伝子導入が可能である。また、ソノポレーション法を用いてShh 遺伝子を肢芽前方に強制発現させることで過剰指を誘導したことから、ソノポレーション法が器官形成に関わる遺伝子を解析する上で有効な手段になることを示していると考えられる。


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