研究発表を行った学会;第26回日本分子生物学会年会
2003年12月10日〜13日(神戸)
タイトル;テトラサイクリンを用いたNDRF/NeuroD2発現誘導P19細胞株による標的遺伝子の探索
発表者;伏見 文良 氏
(熊本大学 発生医学研究センター 神経発生分野)
Abstract;
NDRF/NeuroD2は、bHLH構造を有しNeuroDサブファミリーに属する神経分化制御因子である。NDRFの標的遺伝子を探索する目的で、マウスのP19未分化胚性腫瘍細胞を用いて、テトラサイクリン(Tet又はDox)を培地から除去することでNDRFの発現を誘導しうる細胞株を樹立した。本細胞株をDox存在下および非存在下で一定時間培養後にpolyA+RNAを抽出し、マウス胎児(E14)由来cDNAより作成したMicroarrayを用いて発現量の変化した遺伝子を解析した。そのうちNDRFの誘導時に発現上昇が検出された遺伝子について、さらにNorthern blotで解析した結果、5個の遺伝子で発現上昇を認めた。このうちBLBP (Brain lipid binding protein)とId1は、NDRF発現誘導に伴い5倍以上に発現が上昇した。BLBPについては、Dox非存在下でドミナントネガティブ型のNDRF(dnNDRF)を発現するP19細胞株を用いた解析で、レチノイン酸による神経分化に伴うBLBP mRNAの発現上昇が、dnNDRF誘導時に抑制された。また免疫組織染色で解析したマウス胎児脳のNDRFの発現分布は、小脳顆粒細胞においてId1のそれと類似していた。以上の結果から、NDRFまたは類似のbHLHファミリー転写因子がBLBPとId1の上流で働いていることが示唆された。
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