研究発表を行った学会;第10回日本遺伝子診療学会大会
2003年 7月24日〜25日(大阪)
および
研究発表を行った学会;Xth international Symposium on Amyloid and Amyloidosis
2004年 4月19日〜22日(TOURS, France)
タイトル;Single-stranded oligonucleotides (SSOs) による家族性アミロイドポリニューロパチーの遺伝子治療
発表者;中村 政明 氏
(熊本大学 医学部附属病院 中央検査部)
Abstract;
【目的】FAP ATTR V30Mは、トランスサイレチン (TTR) 蛋白の30番目のバリンがメチオニンに置換した点変異によって起こる予後不良の遺伝性アミロイドーシスである。本症は肝移植により、異型TTR遺伝子を外科的に正常TTR遺伝子と置換するとFAPの臨床症状が進行しないことが明らかとなった。しかし、本治療法には手術時の侵襲や免疫抑制剤の影響、費用などの問題に加え、眼や髄膜にたまるアミロイドを阻止できないなど問題があるため、これに代わる治療法の開発が不可欠である。そこで、FAPの遺伝子治療の可能性を検討した。
【方法】蛍光標識したオリゴを用いて、アテロコラーゲン、ExGen500、Fugen6のHepG2細胞に対するトランスフェクション効率を検討した。アテロコラーゲンで包埋した25mer、45mer、74merのSSOsを用いて、HepG2細胞におけるTTR遺伝子変換の最適条件を検討した。また、マウスATTR V30M遺伝子を持つトランスジェニックマウスの肝臓にアテロコラーゲンで包埋したSSOsを投与し、in vivoでのTTR遺伝子の変換率を検討した。TTR遺伝子の変換率は、mutant allele specific amplification (MASA) 法を用いた定量的リアルタイムPCR法により検討した。
【結果】蛍光標識したオリゴを用いた検討では、アテロコラーゲンによる方法が最も効率よく核に取り込まれた。0.5%アテロコラーゲンで包埋した74merのSSOsの投与により、HepG2細胞で約10%の組み換えがみられた。また、トランスジェニックマウスでは.0.05%アテロコラーゲンで包埋した74merのSSOsの投与により、約9%の組み換えが認められた。
【結論】SSOsによるTTR遺伝子の組み換えはin vitro、in vivoの両方の系で可能であった。将来、本法がFAP患者の遺伝子治療に応用できる可能性が示された。
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