アクティブボード・2004年7月

     ・・・・・2004年7月8日更新・・・・・

研究発表を行った学会;日本発生生物学会第37回大会
2004年6月4日〜6日(名古屋)
タイトル;魚類の性分化過程におけるミュラー管抑制物質(MIS) の発現解析
発表者;北野 健 氏
   (熊本大学 理学部 理学科)
Abstract;
 ミュラー管抑制物質(MIS)は、TGFβスーパーファミリーに属する糖タンパク質である。MISの生理的機能は、雌の生殖輸管系原基であるミュラー管の退縮を促すことであるが、ミュラー管の存在しない硬骨魚類の性分化における発現及び機能は明らかになっていない。そこで我々は、ヒラメ及びメダカからMISホモログcDNAを単離し、性分化過程における雌雄の生殖腺でのMISホモログの発現解析を行った。ヒラメ及びメダカ精巣cDNAライブラリーから単離したcDNAクローンは、それぞれ1982bp、1864bpであり、予想されるアミノ酸配列が既知のMISと比較的高い相同性を示したことから、これらのクローンはヒラメ及びメダカのMISホモログであると推測された。次に、遺伝的雌(XX)ヒラメを18℃飼育により雌へ、高水温(27℃)またはアンドロゲン処理により雄へと分化誘導し、これら雌雄の生殖腺でのMIS mRNAの発現をin situ hybridization法により解析した。その結果、ヒラメの性的未分化時期(日齢50日)において、既にその発現に性差が認められ、雄の生殖腺では高く、雌の生殖腺で低かった。また、性分化時期(日齢60日及び100日)におけるMIS mRNAの発現は、雌の生殖腺では検出されず、雄の生殖腺の支持細胞でのみ観察された。これらのことから、性分化時期でのMIS mRNAの発現パターンは、哺乳類、鳥類、爬虫類と同様に、ヒラメにおいても保存されていると考えられた。現在、リコンビナントMISをXXヒラメに投与し、ヒラメ性分化時期におけるMISの役割を調べている。


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