研究発表を行った学会;国際免疫学会
2004年7月18日〜23日(カナダ モントリオール)
タイトル;CXCR1/IL-8の獲得免疫系での役割:エフェクターCD8+ T細胞でのCXCR1の発現
発表者;高田 比呂志 氏
(熊本大学 エイズ学研究センター ウイルス制御分野)
Abstract;
[目的]IL-8は強力な炎症性サイトカインであり、その受容体であるCXCR1とCXCR2を発現する好中球はIL-8に対して遊走能を示す。このことはIL-8がバクテリアの増殖している炎症部位への好中球の遊走に関与していることを示している。しかし、IL8/CXCR1/2の獲得免疫における役割は全く明らかになっていないため、T細胞でのCXCR1/2の発現とその機能解析を行った。
[方法]健常人末梢血単核球におけるCXCR1/2の発現を、抗体を用いてFACSにて解析した。CD8+ T細胞はT細胞分化マーカーとPerforinを指標として分類した。ウイルス特異的CD8+ T細胞はテトラマーを用いて検出した。CXCR1陽性細胞の細胞傷害活性は、Crリリースアッセイ、IL-8に対する遊走能はトランスウェルを用いて解析した。
[結果] T細胞におけるCXCR1/2の発現は、CD8+ T細胞にCXCR1のみ発現が見られた。CXCR1陽性CD8+ T細胞はエフェクターフェノタイプを示し、CXCR1の発現はPerforinの発現と正の相関関係があった。エフェクターフェノタイプを示すHCMV特異的CD8+ T細胞はCXCR1を発現していた。反対に、そのほとんどがメモリーフェノタイプを示すEBV特異的CD8+ T細胞ではCXCR1の発現は見られなかった。また、CXCR1陽性CD8+ T細胞は強い細胞傷害活性を示し、IL-8に対して遊走能を示した。
[結語] IL-8/CXCR1はエフェクターCD8+ T細胞のホーミングにおいて重要な役割を果たしており、CTLによるウイルス感染細胞の排除に重要な役割を果たしていると考えられた。
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