アクティブボード・2004年10月

     ・・・・・2004年10月 3日更新・・・・・

研究発表を行った学会;第66回 日本血液学会総会
2004年9月17日〜9月19日(京都)
タイトル;M-CSFによる細胞増殖と分化に必要な細胞内シグナルの比較解析
発表者;鈴 伸也 氏
   (熊本大学 エイズ学研究センター 予防開発分野)
Abstract;
 M-CSFは単球系細胞の増殖を刺激し、同時にマクロファージへの分化も誘導するが、この2つの過程を決定する細胞内分子機構、特に、分化決定の機構については明らかとなっていない。今回、我々はこの分子機構を解明するのに有用な細胞培養系を確立した。TF-1は増殖因子依存性の赤白血病細胞株であり、外来性にM-CSFレセプターを導入する事によりM-CSF依存性に増殖する。一方で、このM-CSFレセプター導入TF-1細胞はホルボールエステルであるTPAにより増殖が抑制され、マクロファージへの分化傾向を示すもののその程度は軽微である。しかし、今回、M-CSF共存在下に培養することにより、増殖が刺激される事なく、分化過程が著しく増強される事を見出した。即ち、TPA単独よりもTPAとM-CSF共存在下に培養すると、デイッシュ付着細胞がより多く出現し、また、貪食能が明らかに亢進していた。従って、我々の培養系は、M-CSFによる増殖と分化を同一の細胞を用いて誘導出来る系であり、増殖と分化のシグナル経路を比較解析するのに有用な極めて簡便な系である。実際、M-CSF刺激によるチロシンリン酸化蛋白質の出現様式をウェスタンブロット法により比較すると、増殖刺激系と分化誘導系(TPA存在下)では類似のパターンを示すものの活性化様式が異なるシグナル分子が存在していた。今後これら分子の同定を進める予定である。


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