研究発表を行った学会;日本発生生物学会第37回大会
2004年 6月 4日〜 6日(名古屋)
タイトル;可変型ジーントラップ法を用いたRhoA (ArhA)遺伝子の機能解析
発表者;吉信 公美子氏
(熊本大学 生命資源研究・支援センター バイオ情報分野)
Abstract;
低分子量Gタンパク質Rhoファミリーは、細胞骨格系の再構築を司る分子スイッチであり、生理的な細胞形態変化を制御している。我々は、可変型ジーントラップ法を用いてマウスRhoA遺伝子が破壊されたマウスライン(Ayu17-52ライン)を樹立し、個体レベルでのRhoA遺伝子の機能解析を試みた。
Ayu17-52ラインでは、RhoA遺伝子の発現がnullになるような形でトラップされており、顕著なRhoAタンパク量の減少が、キメラマウス及びヘテロ接合体マウスにおいて前肢の異常を引き起こし、食餌困難により死に至ることが示唆された。前肢の異常の原因が脳または神経系にある可能性を考慮し、Brain RNAを用いてマイクロアレイによるトランスクリプトーム解析を行なった。
まず、ヘテロ接合体マウスにおいてRhoAの発現レベルがワイルドマウスの約半分に減少していることを確認した。次に、ヘテロ接合体マウスにおいて発現量が顕著に減少している遺伝子(c-fosなど)や増加している遺伝子(skeletal α-actinなど)に関して、RT-PCR及びノザンブロットによる解析を行なった。また、Balb/cにバッククロスしたヘテロ接合体マウスは、C57BL/6にバッククロスしたヘテロ接合体マウスよりも表現型が軽減する傾向にあったので、genetic backgroundの影響も検討した。さらに挿入されたトラップベクターの中のβ-geoカセットをCreで除いたマウスライン(Ayu17-52Δgeo)を樹立したところ、ヘテロ接合体マウスにおける表現型が著しく軽減するという知見が得られた。これらのマウスラインを用い、RhoAの発現量と表現型の相関を検討したので報告する。
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