アクティブボード・2005年 5月

     ・・・・・2005年 5月 6日更新・・・・・

研究発表を行った学会;第27回日本分子生物学会年会
2004年12月 8日〜12月11日(神戸)
タイトル;ニワトリ胚の左右軸形成過程におけるDanaeの機能解析
発表者;勝 賢二郎 氏
   (熊本大学 発生医学研究センター パターン形成分野)
Abstract;
 ニワトリ胚の左右軸形成過程では、node内にシグナル分子群の非対称な発現が観察される。ここに生じた非対称なシグナルは側板中胚葉へと伝達され、左側または右側特異的遺伝子群の発現を引き起こし、最終的には臓器の非対称な形態形成や配置をもたらす。我々はこれまでに、Cerberus/DAN familyに属するDanaeを同定し、DanaeがnodeのshhシグナルとCaronte(Car)およびLefty-1の非対称な発現を仲介する役割を持つことを示してきた。今回は1)RNA interferenceによるDanaeの機能阻害と2)Danae-BMPタンパク質間の相互作用について検討した。
 1) siRNAを導入することによりDanaeの機能を阻害し、CarおよびLefty-1の発現に対するDanaeの必要性について検討した。Danae siRNAをエレクトロポレーション法により導入した胚では、CarおよびLefty-1の発現が抑制された。この結果より、Danaeがnode左側のShhシグナル伝達に必須な分子であることが示された。
 2)Danaeは構造上、BMP antagonistと考えられる。Xenopusのanimal cap assayではDanaeがBMP活性を阻害することから、Danaeが実際にBMP antagonistとして機能することが示されている。このBMP阻害効果がDanae-BMP間の結合によるものか否かを免疫沈降法によって検討したところ、両者が共沈することが確認された。Danaeが他のBMP antagonistと同様、BMPと直接結合することにより、BMPのレセプターへの結合 を阻害すると考えられる。
 以上より、Danaeは左側特異的なCarおよびLefty-1の発現に不可欠であること、他のBMP antagonistと同様にBMPと直接結合することが明らかとなった。


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