研究発表を行った学会;第27回日本分子生物学会年会
2004年12月 8日〜12月11日(神戸)
タイトル;胎児外生殖器と尾芽の協調した形態形成プロセス
発表者;原口 竜摩 氏
(熊本大学 生命資源研究・支援センター 技術開発分野)
Abstract;
脊椎動物の外生殖器原基である生殖結節が体幹部から伸長して発生する過程においては、後腸末端部に位置する総排泄腔膜の正常な形成が必要である。総排泄腔膜は初期の発生段階において、外胚葉及び内胚葉からなる2層性の上皮構造として体幹末端部において形成されるが、生殖結節と同じく尾芽も同領域に部分的に由来する領域を含むことが推察されていた。尾芽は体幹部の後部末端から体節形成を伴い伸長していくが、この過程において尾芽突端にVER ( ventral ectodermal ridge)と呼ばれる肥厚した上皮構造が確認できる。VERは尾芽形成に重要な組織であり、発生初期段階では、後腸末端の総排泄腔膜にも由来するとの報告もなされている。我々は総排泄腔膜とVERの発生機構の関連性を検討するためにマウス胚を用いた解析を行った。総排泄腔膜において発現・機能するShh遺伝子の変異マウスやレチノイン酸を投与したマウス胎児では、生殖結節形成不全とともに、尾芽の形態形成にも異常が生じることが明かとなり、これらの結果から生殖結節と尾芽の形成が胚発生の初期過程において部分的に協調している可能性が推測された。また我々は総排泄腔膜やVERで特異的に発現している分子をいくつか同定しており、Shh遺伝子変異マウス及びレチノイン酸処理したマウス胚におけるそれらの分子マーカー解析の結果も含めて、発生初期の胎児後端部における生殖結節及び尾芽が構築される仕組みについての検討を行いたい。
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