アクティブボード・2005年 6月

     ・・・・・2005年 6月 5日更新・・・・・

研究発表を行った学会;第27回日本分子生物学会年会
2004年12月 8日〜12月11日(神戸)
タイトル;細胞核内構造による遺伝子発現の時空間的な調節機構の解明
発表者;斉藤 典子 氏
   (熊本大学 発生医学研究センター 器官制御分野)
Abstract;
 遺伝子の転写制御は、制御配列、転写調節因子の作用、クロマチン構造の変換等に加え、さらに高次元の細胞核内構造レベルでの転写制御様式が重要な役割を果たしていると示唆されている。増殖過程初期に活性化されるc-fos遺伝子座をモデル系として、その発現調節と核内ボディーとの相互作用を解析している。現在までに数多くの核内構造体が同定されているが、我々は既に、c-fos遺伝子が血清刺激後の早期誘導に、正常なPMLボディーの形成が関わることを報告しており、また、プロテオミクス解析により核スペックルを構成するIGC (Interchromatin granule clusters)には遺伝子の転写、RNAのスプライシング、プロセッシング、品質管理、輸送等を担う蛋白質成分を含み、これらの活性を共役する場であると提唱しており、これら2つの核ボディーの機能とその分子メカニズムに着目している。RNA/DNA FISH (fluorescence in situ hybridizasion)により、c-fos遺伝子の転写の場を可視化し、同時に核内構造体を免疫染色を検出した結果、c-fos遺伝子の転写の場は核スペックルとは恒常的に、PMLボディーとは一過的に共局在しその際には核スペックルとも共局在していることを見いだした。よって、2つの構造体がc-fos遺伝子の発現に異なる段階で機能し、またc-fos遺伝子の転写を介して2つの構造体がネットワークを形成することが示唆された。


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