アクティブボード・2005年 7月

     ・・・・・2005年 6月30日更新・・・・・

研究発表を行った学会;日本発生生物学会第38回大会
2005年 6月 2日〜 6月 4日(仙台)
タイトル;Tsukushiノックアウトマウスは網膜変成を引き起こす
発表者;栗山 正 氏
   (熊本大学 大学院医学薬学研究部 神経分化学分野)
Abstract;
 我々はニワトリの原腸形成時にBMPアンタゴニストとして働く分泌型因子Tsukushiを見いだした(Ohta et al., 2004)。 Tsukushiホモログの発現は初期にはnode、神経形成時には神経提周辺等に見られるが、眼の形成時には動物種を越えて、レンズ上皮及び毛様体周縁部に発現している。我々はマウスTsukushi (M-TSK) に対する抗体を作成し、網膜層形成時におけるTsukushiタンパクの局在を調べたところ、網膜神経節細胞層から外側に向かって発現が移り変わって行くことが明らかになった。4週齢マウスの網膜では、成熟した視細胞層の内節にTsukushiタンパクが局在していることが分かった。ほ乳類の発生におけるTsukushiの役割を調べる為にノックアウトマウスを作成したが、初期発生及び神経提形成には明確な表現形は観察されなかった。しかしながら、眼における発現が大変良く保存されていたため網膜形成について調べたところ、幼若マウスおよび加齢マウスにおいて網膜変性を引き起こしていることが明らかになった。
 この変性を引き起こすメカニズムを解明するために組織学的解析・免疫染色・細胞増殖・アポトーシス・電気生理学的解析を行い、変性が起こる時期・部位を検討した。その結果、比較的眼の発生の初期に見られる表現形とそれをスキップしてもなお加齢マウスにおいて徐々に網膜変性が昂進していることを明らかにした。


  アクティブボード
  遺伝子実験施設ホームページ
熊本大学 生命資源研究・支援センター 遺伝子実験施設,
E-mail: www@gtc.gtca.kumamoto-u.ac.jp