研究発表を行った学会;日本発生生物学会第38回大会
2005年 6月 2日〜 6月 4日(仙台)
タイトル;可変型遺伝子トラップクローン;Ayu17-125の解析
発表者;伊藤 美陽 氏
(熊本大学 生命資源研究・支援センター バイオ情報分野)
Abstract;
可変型遺伝子トラップ法によって得られたマウスラインAyu17-125は、5'-RACE解析により、Edd(Hyd)遺伝子をトラップしていることが明らかになった。Edd遺伝子は種を超えてよく保存されており、約300kDの核タンパク質をコードしている。EddはHECT、zinc finger、UBA、PABP様ドメインを含み、E3ユビキチンリガーゼ活性を持つ。DNA損傷応答の調整やプロゲステロンレセプター(PR)の転写活性に重要な役割を担うと示唆されている。トラップベクターpU-17は遺伝子の第1intronに挿入されていた。Eddのタンパクコード領域8379bpのうち、第1エクソンに存在するのは62bpのみであり、トラップベクターの挿入によりほぼ完全に破壊されたと予想される。へテロ接合体では顕著なフェノタイプはない。トラップベクター内のβ-geo遺伝子をEGFP遺伝子に置換したクローン(17-125EG)のヘテロ接合体とβ-geo遺伝子のままのトラップクローンのヘテロ接合体(17-125geo)とをかけ合わせ、newbornを得て、それぞれの遺伝子を検出するプライマーを用いてPCRを行うことによってgenotypeを調べた。その結果、newbornで両方の遺伝子が検出される個体は存在せず、ホモ接合体は胚性致死であることが明らかとなった。17-125geoにおいては、トラップした遺伝子の内在性のプロモーターによりレポーター遺伝子β-geoを発現するため、おおまかな発現パターンはX-gal染色により知ることができる。アダルトのヘテロ接合体マウスの臓器のX-gal染色を行ったところ、脳、腎臓で特に強い発現が観察され、骨格筋、大腿筋、皮膚、子宮、精巣、心臓、膀胱、胃、小腸でも発現が見られた。X-gal染色、RT-PCR、によるEdd遺伝子の発現パターンに関して報告する。
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