アクティブボード・2005年10月

     ・・・・・2005年10月 3日更新・・・・・

研究発表を行った学会;第7回日本RNA学会年会
2005年 8月 9日〜 8月11日(弘前)
タイトル;生細胞におけるsnRNAの核内移行及び核内挙動の蛍光イメージング解析
発表者;井手 深雪 氏
   (熊本大学大学院自然科学研究科 谷研究室)
Abstract;
 我々は、snRNA の細胞質から核内への移行過程及び核内での挙動を生きた細胞内で解析するため、HeLa細胞の細胞質に蛍光標識したU2 snRNAをマイクロインジェクションし解析を行った。
 HeLa細胞核抽出液より回収したU2 snRNAをCy3で蛍光標識し、細胞質へインジェクションした結果、インジェクション30分後には核内への効率良い移行が観察された。エネルギー枯渇条件下の細胞においても、蛍光標識U2 snRNAは核内へ移行された。核内へと移行した蛍光標識U2 snRNAの一部は、その後Cajal bodyへ局在化することが示された。FRAP解析を行った結果、Cajal bodyに局在化したU2 snRNAは、核質との間でダイナミックな移動(結合と解離)を繰り返していることが示唆された。
 タンパク質合成阻害剤及びタンパク質核外輸送阻害剤で処理した細胞においては、インジェクションしたU2 snRNAの核内への移行及びCajal bodyへの局在化に影響は見られなかった。また、Cajal bodyへの局在化はエネルギー非依存的な反応であることが示された。一方、転写阻害剤actinomycin Dで処理した細胞では、蛍光標識U2 snRNAは核小体周辺部にリング状に局在化し、更にparaspeskleの因子PSP1と共局在することが観察された。これらの結果は、内在性U2snRNAの挙動と一致する。
 今後、pre-mRNAとU2 snRNAの相互作用をFRETを用いて解析する予定である。


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