研究発表を行った学会;第64回 日本癌学会学術総会
2005年 9月14日〜 9月16日(札幌)
タイトル;肺癌におけるPIK3CAの変異とその意義
発表者;市川 靖子 氏
(熊本大学 大学院医学薬学研究部 腫瘍医学分野)
Abstract;
(背景)PI3Kは受容体型チロシンキナーゼやRasシグナルにより活性化され、Aktなどを介して様々な細胞内イベントに関与する。多くの癌において、PIK3CA(PI3K P110α catalytic subunit)の遺伝子増幅・発現増加が臨床検体解析により報告されてきた。最近、大腸癌、乳癌などでPIK3CAのexon9 (herical domain)やexon20 (kinase domain) にsomatic mutationが発見され、in vitroでexon20の変異PIK3CAは正常型に比較してキナーゼ活性が増強していることが報告された。
(目的・方法)今回我々は、肺癌71例の手術切除組織及び気管支鏡下生検組織を用い、PIK3CAの遺伝子変異をexon9とexon20について検討した。
(結果)解析症例71例(小細胞癌21例)を解析したところ、29例(小細胞癌11例)についてexon9の変異が認められた。
(考察)exon9の変異がPIK3CAのキナーゼ活性に変化を与えているかの検討は必要であるが、本変異は肺癌における癌化シグナルに影響を与えていると推察できる。本変異と下流因子発現及び臨床病理学的因子も合わせて報告する。
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