アクティブボード・2005年11月

     ・・・・・2005年11月 1日更新・・・・・

研究発表を行った学会;日本発生生物学会第38回大会
2005年 6月 2日〜 6月 4日(仙台)
タイトル;ヘテロ接合体の掛け合わせで得られた胚盤胞の培養による
       ホモ接合体ES細胞の効率的樹立

発表者;荒木 喜美 氏
   (熊本大学 発生医学研究センター 臓器形成分野)
Abstract;
 今まで、Gene targetingなどで変異をホモにもつESを得る場合には、薬剤耐性遺伝子を入れ替えたtargeting vectorで2回のノックアウトを行うか、薬剤の濃度を上げて培養することでホモ化を行う場合が多かった。しかし、これらの手法では、前者の場合は、F1のES細胞の場合は不向きであること、後者の場合には、ES細胞への負担が大きく、また、bgeoを用いた遺伝子トラップ法で得られたES株の場合にはbgeoの転写量が一定しないため困難な場合が多いという欠点があった。我々は、胚盤胞を培養し効率的にES細胞を樹立できる系を確立し、F1のES細胞であるTT2を用いた遺伝子トラップ法で樹立された2系統およびGene targetingで樹立された1系統、計3系統のマウスを用い、ヘテロ接合体の掛け合わせで得られた胚盤胞からES細胞を樹立することによりホモ接合体ES細胞を得ることを試みた。ヘテロ接合体同士の体外受精により得た受精卵を胚盤胞まで培養、その後、1つ1つの胚盤胞を48穴のdishにまき、Knockout Serum Replacement (KSR)と Glasgow minimum essential medium (GMEM)を用いた培地で培養と植え継ぎを続けES細胞を樹立した。まいた胚盤胞のうちおよそ3分の1〜半分からES細胞の樹立に成功、genotypingを行ったところ、10-30%の割合でホモ接合体のES細胞を得ることができた。また、これらのES細胞をICRの8細胞期胚と凝集法によりキメラマウスを作製したところ、約半数のクローンからは100%キメラが得られ、掛け合わせによって得られるホモ接合体と同様の表現型を示した。


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