研究発表を行った学会;第28回日本分子生物学会年会
2005年12月 7日〜12月10日(福岡)
タイトル;Feeder-free TT2 ES細胞を用いた可変型遺伝子
トラップによる変異マウスライン樹立
発表者;春名 享子 氏
(熊本大学 発生医学研究センター 臓器形成分野)
Abstract;
我々は、部位特異的組換えシステムを応用したベクター内の遺伝子置換が可能な可変型遺伝子トラップ法を開発し、TT2 ES細胞を用いてトラップES細胞クローン単離・・マウスライン樹立を行っているが、feederを用いたES培養作業の煩雑さが効率的に進めるうえでの障害となっていた。そこで、インビトロジェン社より市販されているKnockout Serum Replacementを用い、feeder freeで増殖できるサブクローンを単離した。その中でキメラ形成能の良かったKTPU10を用い遺伝子トラップを行った結果を昨年度の本大会でも発表したが、このES細胞から得られたキメラでは、生殖能力が半年程度で失われてしまうという現象が頻繁に見られ、このKTPU10株の問題と考えられた。
そこで、同時期に単離した別のクローン、KTPU8を用いて遺伝子トラップを行い、そのキメラ形成能と生殖能力を検討した。可変型トラップベクターpU-21BをKTPU8にエレクトロポレーションで導入後、140クローンを単離、挿入パターンを解析したところ、7割以上のクローンは単一コピー挿入で、lox配列も保持していた。それらのクローンを用い、CD-1モルラ胚との凝集法でキメラマウス作製を行ったところ、6割以上のクローンで100%キメラが得られ、キメラ形成能は十分高いと考えられた。また、それらのキメラは半年以上にわたり子孫をつくり、繁殖能力にも問題はなかった。このKTPU8は、遺伝子トラップだけではなく、通常のノックアウトにも有用と期待される。
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