アクティブボード・2006年5月

     ・・・・・2006年 5月 8日更新・・・・・

研究発表を行った学会;第35回日本免疫学会学術集会
2005年12月13日〜12月15日(横浜)
タイトル;MOGペプチドとTRAILを共発現する樹状細胞による
  EAEの発症予防には抑制性T細胞が関与する

発表者;平田 真哉 氏
   (熊本大学 大学院医学薬学研究部 免疫識別学分野)
Abstract;
(目的)我々は、これまでにマウスES細胞に自己抗原遺伝子であるMyelin oligodendrocyte glycoprotein (MOG) p35-55ペプチドとT細胞抑制性分子のTRAILの遺伝子を導入し、in vitroでDCへ分化させた細胞(ES-DC-TRAIL/MOG)をマウス個体へ投与することにより、MOGペプチドやMyelin Basic Protein (MBP)ペプチド・蛋白で誘導された実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)の発症を予防出来ることを報告してきた。今回、そのメカニズムについて、CD4+CD25+制御性T細胞の関与を発見したので報告する。
(方法)マウスES細胞TT2(H-2k/b)にインバリアント鎖のCLIP領域をMOG p35-55ペプチドに置換した分子をコードする遺伝子(Ii-MOG)と、TRAIL遺伝子を電気穿孔法にて2段階で導入し、DCに分化誘導させた。このES-DC-TRAIL/MOGをマウス(H-2k/b)個体へ投与し、このマウスから分離した脾臓CD4+CD25+制御性T細胞をレシピエントマウスへ移入した。その後、MOGペプチドあるいはMBPペプチド・蛋白により誘導されたEAEの発症抑制効果を検討した。
(結果)ES-DC-TRAIL/MOGを投与したマウスの脾臓CD4+CD25+制御性T細胞を移入したレシピエントマウスにおいて、MBPやMOGにより誘導されるEAEの発症が抑制された。また、抗CD25抗体で制御性T細胞を除いたマウスでは、ES-DC-TRAIL/MOGによるMBP誘導性EAEの発症予防効果は観察されなかった。
(考察)ES-DC-TRAIL/MOGが制御性T細胞の誘導を介して、EAEの発症を抑制している可能性が示された。


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