研究発表を行った学会;第35回日本免疫学会
2005年12月 13日〜12月15日(横浜)
タイトル; 血液細胞の分化段階に応じて、適切なc-Mybの発現量は規定されている。
発表者;坂本 比呂志 氏
(熊本大学 発生医学研究センター 造血発生分野)
Abstract;
成体型の血液細胞は、胎生期マウスの血管内皮細胞から発生することが知られている。c-Mybは、この成体型造血において必須な転写因子である。そこで、我々は血管内皮細胞からの成体型造血におけるc-Mybの役割を詳細に検討した。c-myb(-/-) ES細胞にテトラサイクリンによる遺伝子発現調節系をもちいてc-myb遺伝子の発現調節を行うことにより、発現のタイミングや量を自由に調節しその影響を検討することを目的とした。内皮細胞以降のc-Myb発現により、成体型造血を行う血液細胞の発生は回復した。このことは、内皮細胞におけるc-Mybの発現は、造血能力の獲得以前に先立っている必要はないことを示している。c-Mybの強制発現は、赤血球および巨核球の最終分化を抑制し、B細胞の発生を完全に抑制した。以上の結果より、c-Mybは内皮細胞からの血液前駆細胞の増殖だけでなく以降の血液細胞の分化も調節し、各血球細胞の分化段階に応じた適切な量が規定されていることを示している。
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