今月のお知らせ
  (平成16年 7月)

2004年 7月 8日 更新


 内容:
  (1)第46回遺伝子技術講習会のお知らせ
  (2)理科教員のための組換えDNA実験教育研修会のお知らせ
  (3)第128回CARDセミナー『カルタヘナ議定書』を知っていますか?
  (4)『アクティブボード』について


<これまでのお知らせ>


(1)第46回遺伝子技術講習会のお知らせ

 下記日程で第46回遺伝子技術講習会を開催します。今回は、拠点形成研究B「新世代生命科学におけるプロテオミクス研究・教育システムの構築」が企画している教育セミナーの一環として、アプライドバイオシステムズジャパン(株)の津幡氏にプロテオミクスの「基本のキ」から説明してもらい、その後山口大学の小林先生からプロテオミクスを利用した研究内容を紹介していただく予定です。多数の方の御来聴を歓迎いたします。

======= 第46回遺伝子技術講習会 ======
主 催:熊本大学 生命資源研究・支援センター 遺伝子実験施設
共 催:拠点形成研究B「新世代生命科学におけるプロテオミクス研究・教育システムの構築」
テーマ:『プロテオミクスの進化―タンパク質同定から機能解析へ』
日 時:2004年 7月22日(木)13:30〜16:00
場 所:熊本大学 生命資源研究・支援センター
    遺伝子実験施設・6階・講義室(602)
内 容:
 13:30〜14:50 『プロテオミクス研究における質量分析装置の基礎と応用』
    アプライドバイオシステムズジャパン(株)マーケティング   津幡 卓一

 質量分析装置が1897年に開発されて、100年以上経過した。今や、質量分析装置はタンパク質を始めとして生体分子の解析に広く用いられている。当初、タンパク質における質量分析装置は二次元電気泳動によって分けられたタンパ ク質の同定に用いられていたが、変動解析、機能解析、相互作用解析、バイオマーカー探索、ドラッグターゲットなどさまざまに用いられることとなった。プロテオミクスに用いられる質量分析装置の特徴、タンパク質の同定からさまざまなアプリケーションまでわかりやすく説明させていただきます。

 15:00〜16:00 『機能的プロテオミクスを用いた血管病の原因シグナル分子の探索』
    山口大学医学部医学科器官制御医科学講座・分子細胞生理学 教授 小林 誠

 血管攣縮などの血管病の本態として、Rhoキナーゼ(ROK)を介した血管平滑筋のカルシウム非依存性収縮が注目されている。このROKの上流の血管病原因分子として、我々は、スフィンゴシルホスホリルコリン(SPC)を同定し、さらに、SPCが、Srcファミリー・チロシンキナーゼ(Src-TK)の活性化を介してROKを活性化する事を見出した。今回は、Src-TK依存性のチロシンリン酸化レベル変化を指標に、質量分析計を用いて、Src-TKの下流分子を網羅的に探索し、ペプチド・マス・フィンガープリンティング(PMF)法によって分子を同定した。

(2)理科教員のための組換えDNA実験教育研修会のお知らせ

1.趣旨;
 平成14年3月に文部科学省の「組換えDNA実験指針」が改正され、中学・高等学校においても「教育目的組換えDNA実験」が可能になった。指針では、組換えDNA実験を実施した経験を有する者が実験指導者となることを求めていた。そこで熊本大学では、文部科学省「地域貢献特別支援事業」の一環として、平成14年度から熊本県内の中学・高等学校の現職理科教員を対象としたトレーニングコースを開催してきた。
 平成15年6月に『遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律』(規制法)が公布され、平成16年2月19日付けで施行された。これに伴って「組換えDNA実験指針」は廃止された。規制法では、「教育目的組換えDNA実験」に対応する特別な規定は置かれていない。しかしながら、P1レベルの拡散防止措置を執れば、中学・高等学校の理科教室で「特に安全性の高い実験」を行うことが可能である。その際、取扱経験者の配置や取扱者の教育訓練に努めることが必要である。
 従って熊本大学では、平成16年度も前記トレーニングコースを継続することにした。教育の現場に新しい教材として組換えDNA実験を取り入れることで、遺伝子組換えに関する知識の一般社会への普及に役立たせる機会とする。
2.参加対象;熊本県内の中学・高等学校現職理科教員
3.募集人員;20名
4.実施期日;平成16年8月11日(水)〜平成16年8月13日(金)
5.実施場所;熊本大学 生命資源研究・支援センター 遺伝子実験施設
       6階 講義室(602)およびセミナー室(601)
6.受講料;無料
7.講義内容;
 中学・高等学校における遺伝子教育や規制法に関する講義、及びプラスミドによる大腸菌の形質転換などの実習を行うと同時に、生命倫理を含めた生命科学の最先端の話題を提供する。
8.日程表;
=== 8月11日(水) ===
10:00〜10:30 受付
10:30〜10:45 開講式及びオリエンテーション
10:45〜11:25 参加者の自己紹介
11:30〜12:10(研修1)講義「DNAと仲良くなろう!」[吉信 公美子]
13:10〜13:50(研修2)講義「LMO (Living Modified Organism)のABC」[荒木 正健]
13:55〜14:45(研修3)講義「遺伝子組換え作物・食品の現状について」[荒木 朋洋]
14:55〜15:55(研修4)講義と実習「DNAのエタノール沈殿」(*)
16:00〜17:00(研修5)講義と実習「大腸菌の形質転換」(*)
17:00〜18:00 フリートークタイム

=== 8月12日(木) ===
 9:30〜10:20(研修6)講義と実習「大腸菌のコロニー観察」(*)
10:25〜11:15(研修7)講義「病気と遺伝子」[森 正敬]
11:20〜12:10(研修8)講義「遺伝性疾患の診断と治療 −FAPを中心として−」[安東 由喜雄]
13:10〜14:00(研修9)講義「本能行動の分子生物学 −体内時計と睡眠の遺伝子−」[粂 和彦]
14:05〜14:50(研修10)講義「教育現場への遺伝子実験導入について」[崎村 奈央]
15:00〜17:00(研修11)講義と実習「PCR (Polymerase Chain Reaction)」(*)
17:00〜18:00 フリートークタイム

=== 8月13日(金) ===
 9:30〜10:50(研修12)講義と実習「PCR産物の電気泳動」(*)
11:00〜12:00(研修13)講義と実習「泳動結果の写真撮影」(*)
13:00〜13:30(研修14)実習のまとめ(*)
13:35〜15:05(研修15)グループ討論「先端生命科学の教育現場への導入 −その光と影−」[佐谷 秀行]
15:15〜15:45(研修16)総合討論と質疑応答[佐谷 秀行]
15:45〜16:00 閉講式(修了証書授与および写真撮影)
16:00〜      施設見学(希望者)
  (*)実習担当者;荒木 正健、吉信 公美子、湊 理恵、慶田 貴子、伊藤 美陽、
           井手 深雪、荒木 喜美、三池 浩一郎、崎村 奈央、[要 匡]

(3)第128回CARDセミナー『カルタヘナ議定書』を知っていますか?

 第128回CARDセミナーで、規制法に関する話をすることになりましたので、お知らせします。
日  時;2004年7月15日(木)17:00〜18:00
場  所;エイズ学研究センター・CARDセミナー室(新棟2F)
演  者;荒木 正健(生命資源研究・支援センター バイオ情報分野)
演  題;『カルタヘナ議定書』を知っていますか?
要  約;
 遺伝子組換え生物等による生物多様性への影響を防止するため『生物の多様性に関する条約のバイオセーフティーに関するカルタヘナ議定書』が2000年1月に採択されました。2003年6月には、議定書の発効に必要な50カ国が締結し、3ヶ月後の同年9月に議定書が発効しました。日本も、議定書を締結するために必要な法律を議定書とともに2003年3月に国会に提出し、同年6月に『遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律』が成立し、公布されました。
 さて、遺伝子組換え生物に関わりのある皆さんは、この「カルタヘナ議定書」の内容を御存知でしょうか? 存在そのものを知らない方も多いのではないでしょうか。しかしながら、議定書の締結により、2004年2月19日付けで「組換えDNA実験指針」が法制化され、違反した場合には1年以内の懲役若しくは100万円以内の罰金が科されるのですから、知らないで済ますことは出来ません。
 そこで『カルタヘナ議定書』とは何かを簡単に紹介し、それを締結するために整備された法律等の内容を、遺伝子改変マウスの取扱を中心に、出来るだけ具体的に説明したいと思います。

(4)『アクティブボード』 について

 7月の『アクティブボード』は、北野 健氏(理学部 理学科)、白石 絵吏(大学院自然科学研究科)及び光永 佳奈枝氏(発生医学研究センター 臓器形成分野)の3人にお願いしました。各ポスターのAbstractも『アクティブボード』のページに掲載していますので、是非ご覧下さい。


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熊本大学 生命資源研究・支援センター 遺伝子実験施設,
E-mail: www@gtc.gtca.kumamoto-u.ac.jp