『疾患プロテオミクス研究の現状と展望
〜企業研究者から見た将来の方向性〜』
佐藤 孝明
(株)島津製作所 ライフサイエンス研究所 プロテオーム解析センター 主任研究員
熊本大学 生命資源研究・支援センター 客員教授
近年、過去20年以上に渡るゲノム、トランスクリプトーム研究の大きな流れにのってプロテオーム研究も従来の各論的生化学的解析からより網羅的大規模解析方法へと変化しつつある。この大きなドライビングフォースとなっているのが、疾患関連バイオマーカー探索である。
(株)島津製作所ライフサイエンス研究所は現在、プロテオーム解析研究を中心に国内に産学連携拠点を構築しながら、バイオマーカー探索を目的にオーダーメイド医療実現化に向けた先端的ゲノム・プロテオーム解析研究を推進している。特に、大阪大学蛋白質研究所では臨床癌の実サンプルを用いて、新規に開発されたプロテオーム解析用試薬を駆使しながら、肝癌関連バイオマーカー候補を同定している。また、理化学研究所ではオーダーメイド医療実現化に向けて、臨床現場で使用できる試薬一体型全自動SNP解析装置の開発等を精力的に行っている。
本講演では、(1)ヒト癌に関する発現変動遺伝子のフォーカスプロテオーム解析、(2)ヒト血清からの臨床診断マーカー探索と試薬一体型全自動SNP解析装置開発の紹介、(3)新規蛋白質データーベース構築の必要性を中心に、現在の未完成のプロテオーム解析に何が必要かを企業研究者の立場から平易に解説したい。
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