「生命設計図の解読からヒト分子生物学への展開」

熊本大学・遺伝子実験施設
熊本市本荘2−2−1
Tel : (096) 373-6501, FAX : (096)373-6502
2000年10月30日 更新


「生命設計図の解読からヒト分子生物学への展開」
  慶応義塾大学医学部 分子生物学
     教授  清水 信義

 ヒトゲノムすなわちヒトという生命の設計図を解明
しようとする研究は国際プロジェクトとして10年前
に開始され、その壮大な目標から生命科学におけるア
ポロ計画として推進されてきた。昨年12月、我々を
含む日英米チームは人類史上初めて、ヒト染色体
(22番)を一本丸ごと解読することに成功し、天地
創造の瞬間に喩えられた。次いで、今年5月には日独
チームの一員として21番染色体の解読にも成功した。
今年中には国際チーム協同でヒトゲノム「生命の書」
の概要版が公表される。このようなヒトゲノムの情報
と技術は、新たな生命科学の展開や疾病の診断・治療
・予防法の開発に必須の基盤であり、生命の尊厳に関
して新しい価値観をも生み出すと思われる。本講演で
は、我々の成果を中心にヒトゲノム解析研究の最先端
を紹介し、ヒトという究極の生物の設計図の謎解きに
迫る。また、その厖大な成果を有効利用するための
データベース構築の試みを述べ、新たなヒト分子生物
学とゲノム医学への展開について考察する。


  今月のお知らせ(11月)
熊本大学・遺伝子実験施設; E-mail:www@gtc.gtca.kumamoto-u.ac.jp