レポート第10回 集計結果

熊本大学・遺伝子実験施設
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2001年 3月30日

生命科学G レポ−ト 第10回・問題2 回答集
2001年01月17日実施

************************ 問題2 ************************

アイスランド政府(国民)は、全国民の遺伝子を収集し、データベースを作成する権利を1民間企業に与える「国民健康データベース法」を制定しました。その結果、遺伝病だけでなく、様々な病気の研究が飛躍的に進むと期待されます。一方で自分の遺伝情報が、予想もしなかった目的で公的機関や民間企業に利用される危険性もあります。さて、もしあなたがアイスランド国民だったら、この法律に賛成ですか?反対ですか?その理由も書いて下さい。

************************ 回答 ************************

☆賛成☆
  • データベース化することによって様々な病気の研究が進み、寿命が延びるから。そのためには自分の遺伝情報が利用されるのも仕方ない。自分も病気になった時に、得た情報を利用すると思うから。
  • 新薬や遺伝子治療で多くの人の命が助かるのなら、悪用のリスクよりもその恩恵の方が大きいと思う。大事なのは、何か危害が加わったときの保証制度を確立することだ。
  • 悪用しないという条件付きで、1人の人間のデータをいくつかに分けて、多数の企業で保存する形で研究に利用されるのであれば賛成。

★反対★
  • 今でさえ住所や電話番号など様々な個人情報が漏れているのに遺伝情報まで漏れてしまうなんて危険。
  • 仮にデータベースを管理できたとしても、裏で遺伝子の情報が商売として悪用される危険がある。
  • 自分の遺伝子情報を知ることが出来る利点はあるが、それが販売されてしまえば自分の遺伝子は商品となり、さらに企業の利益へとかわってしまう。
  • 遺伝情報を確実に保護するシステムもないのに研究を進めるのは危ない。
  • 民間企業に任せてしまうのは危険。国で管理統制すべき。「国民は自らの意思で不参加を表明しなければ自動的に同意したものと見なされる」ということが改められれば、「国民データベース法」に賛成。
  • 遺伝子関連でどこまでが許され何が倫理的に許されるのかをよく考えるべき。
  • 自分たちの知らない間に自分の遺伝子の研究が数人の研究者達の手によって行われ、また、政治的にも利用される。人間は自然のままに生きることが大切だと思う。国民が健康で長生きすることが本当に人類の幸せなのだろうか?
  • 就きたい職業に就けない、保険に入りたくても入れないなどの様々な問題が出てくると思う。ある病気になるという可能性があるというだけで、差別とも言える行為を受けるというのは納得がいかないだろう。体の構造とも言える遺伝子が転用されるのは決して良いことだとは思えない。
  • 民間企業が作業を行うこと自体おかしいのに、一つの企業に限定されるとなるとなおさらだ。
  • 自分の遺伝情報はプライバシーと同じで他人にむやみに知らせていいものではない。自分で知りたくないことを知られたら嫌だし、寿命が延びることが必ずしも良いことだとは思わない。
  • 根源的なプライバシーに関わる情報を民間企業に与えることは大きな問題。確かにアイスランドの国民の遺伝的な特殊性は、学術的に大きな意義があるのかもしれないが、それを国民健康データベースとして作成する意味はあまりないと思う。「国民の約半数が研究をよしとしていた」とするなら、その時点で国の事業として新たな研究機関をつくることも出来たし、逆に「国民の健康管理」とは切り離して、純粋なデータとしてデコード社に売る(提供する)かどうかを個人に決めさせることも出来たはずだ。
  • 自分の遺伝情報が勝手に利用されるというのはプライバシーの侵害である。様々な病気の研究が進むのは良いことだが、それよりも個人のプライバシーを尊重すべきである。

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