レポート第9回 集計結果
熊本大学・遺伝子実験施設
熊本市本荘2ー2ー1
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2001年 3月28日
生命科学G レポ−ト 第9回・問題2 イ)ウ)回答集
2000年12月20日実施
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劣性遺伝病の場合、ヘテロは正常で、ホモになると病気になります。つまり、同じ遺伝子に異常を持つ人(ヘテロ)同士が結婚すると、その子供は遺伝病になる可能性があります。現在までに数多くの遺伝病の原因遺伝子が発見され、遺伝子診断が可能になりました。しかしながら、その治療は困難な場合が多く、予め病気になることが予想される子供は産まない(あるいは、つくらない)方が良いという意見もあります。あなたはこの問題をどうとらえますか?
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(A)産む(つくる)方が良い
- 友人の弟は、産まれる前に、ダウン症を持つ子供であるかもしれないと告知された。その両親は、自分達の子供だからと覚悟を決めて出産し、結果的には正常であった。遺伝子診断によって生命をコントロールするのは問題があると思う。そういう病気を持って生まれてきたからといって不幸せであるとは限らない。
- 子供の数が現代の世の中では減ってきているので産んだほうが良い。
- 病気の子供を産む立場としてはすごく迷うのだろうけど、病気であることを知りさえしなければなんら他の人々とかわらないと思う。
- 病気になることが予想される子供は産まないというのは、その病気や障害をもっている人の存在を否定する考えである。この意見には賛成できない。
- 病気を持つ子なら作らないということがおかしい。
- 何が幸福か不幸かは本人達の問題であって、病気の子だから愛せないというのはおかしいと思う。子供が幸せかどうかは親にかかっている。
- 病んで産まれてくる子供が幸福か不幸かは周りの環境次第。親の愛が最も重要であるが、人間社会をもっとより良くする必要があると思う。
- 病気になると分かっている子供は作らない方が良いと思うが、出来てしまったんならしょうがない。
- 遺伝子診断に左右されることはない。でもせっかく開発されたんだから利用するしないは本人達の自由。
- 病気になる可能性は誰だって0ではないから産むべき。でも、子供が不治の病になると分かっているのなら作るような真似はするべきではない。
- 病気になることが予想されるのであれば、その子を産んだ後に、幼い頃からその病気にかからないような環境を作って何とか防ぐことが出来るのではないか?
- 遺伝子診断なんて考えつかなければ良かったのではないだろうか。誰だってより良い子供の方が良いと思うだろう。発明は使う人々の考え方の違いにより、良くもなり悪くもなる。知らなければ知らない方がいいのにと思う。
- いくら病気を持っていたとしても一人の人間にかわりない。
- 自分の父と母は保因者で、弟は1歳になる前に遺伝病で亡くなったが、現在自分には2人の弟妹がいる。
- 「病気になるかもしれない」という理由で生まれてくることさえ出来なくなるのはとても悲しいこと。「生まれないほうが幸せ」というのはあくまで親の意見で、生まれてきてよかったかどうか分かるのは子供だけ。子供の幸せはむしろ親の愛情にかかっている。
(B)産まない(つくらない)方が良い
- 育てるなら元気な子供の方がいいし、病気になると分かっているなら産まない方がその親にとっても良いと思うから。
- もし自分が産まれてくる子供の立場だったら、親を恨むことになるだろうし、産んで欲しくなかったと思うだろう。
- 死に至るような病気なら産まない方がいい。
- 病気になる可能性が高いにも関わらず子供つくるのは親のわがまま。
- 病気になる可能性があるともともと分かっているのなら産まない方が子供のためでもある。子供がかわいそう。
- 自分がもし医者から、「お腹の子供は治療が困難な病気です」とか、「遺伝的に問題のある子供」だと言われたら、あまり妻には子供を産ませたくない。母親が悲しい思いをすると思うし、子供もかわいそう。医者にそのようなことを言って欲しくない。
- 病気になると分かっていてわざわざ子供つくろうとは思わない。遺伝病が治療の困難な病気であるならなおさら。
- 好きなようにすれば良い。自分がその立場だったら、わざわざ自分の子供を危険にさらしたくので、子供はつくらないと思う。
- 自分のためにも子供のためにも産まないほうが良いと考えているが、もしも自分の母親だったら、私が遺伝病を持つ子供であると分かっても私を産んでくれる様な気がする。「子供は親を選べない、親は子供を選べる。」これは人間の変えられない運命だから、人がその子供を産むか産まないかはその人の価値観によって選べばいいことではないかと思う。
- 不幸な子供が少なくなるという点では良いことだと思うが、何か間違いであるような気もする。
- 両親が子供を愛せないというなら、堕ろしたりつくらなかったりしても仕方がない。
- 障害のある子を持つ親は社会的にも経済的にも多大な負担を負わなければならない。確かにその子供の人権を侵害することになるという人も多いと思うが、子供が、自分の意志に関係なく障害を持っていることでコンプレックスを負うことの方が、子供のその後を考えた上でもひどく悲しいことだと思う。
- どうしても子供が欲しかったら、第三者から精子や卵子を提供してもらう。
- 兄弟の中で1人重い病気を持っていると、親はその子につきっきりになるだろうから教育上良くない。
- 幸せになれないとは思わないが、今の社会では生きることが困難だと思う。
(C)その他
- 遺伝病の原因を突き止め、一刻も早く治療法を発見することが大切。
- 親にとっては非常に苦しい選択。「つくらない」にしても、少子化の問題が出てくると思う。遺伝子治療が発達すればいいと思う。
- 産む・産まないは親が決めることなので何とも言えないが、子供をつくると子は病気になるという事実を突きつけられた親にとって、技術の進歩はとても残酷だと思う。
- 病気の子供でも欲しいと思うのならば産んでもいいと思うが、きちんと育てきれる自信がない人は産まない方が良い。
- 答えの出ない問題。
- 産む・産まない、どちらも正しい。出産の選択のために遺伝子診断がどんどん使われるというのは問題であるが、親側の希望を取って行われるのであれば遺伝子診断を行っても良いと思う。
- 子供が病気になるから好きな人と結婚できないというのはとても辛いこと。遺伝子レベルで相手を見なきゃならない時代になっているとは・・・・。
- 正直言って「難しい問題」。我々はこの問題を身近に考えるべきである。
- 病気を回避するためにあらゆる手段を取ることにはあまり抵抗を感じないが、親の子殺しが普通のことになる様な気がする。
- 病気は悪いものだけど、病気を持っている人は悪くない。「病気の子供」とか「病気になることが分かっていて産んだ親」に対する評価とは別。
- 少なくともこれからの時代では、よほどの身体的悪性の強い障害でない限り問題にならないと思う。精神の方がよほど危ないと思う。
- 将来、優性な遺伝子を持つ人間しか作らない、といった世の中になる第一歩目の様な気がして怖い。
- 人間として生んであげたいと思う人もいるだろうし、生まれてから辛い思いをするくらいなら生まない方が良いというのも愛情だと思う。
- 分からない。子供を持ったことのない私達が、想像だけで、「生まれてきても治療困難な病気になるのだったら子供がかわいそうだから産まないほうがいい」等と言うのは無責任な様な気がする。
- 苦労して育て上げることは今の自分では到底出来ないこと。ただ、実際に子供が出来たときや第二子、第三子の時にはどの様に考えるかは分からない。
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