優秀作品(15)

熊本大学・遺伝子実験施設・荒木正健
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2001年 3月28日更新


『あなたのなかのDNA―必ずわかる遺伝子の話― 』
『食卓の上のDNA―暮らしと遺伝子の話―』(教育学部)

 この二冊の本はDNAというものを考える上で基本になることと、それらの基本をふまえた上で今問題になっているさまざまな問題にどう対処していくかということが書かれています。
 一冊目の『あなたのなかのDNA』が書かれたのが1994年、二冊目の『食卓の上のDNA』が書かれたのが1999年、この五年間の間にDNA、DNAに関わる色々な問題が爆発的に増え、それらの問題が新聞や週刊誌で大きく取り扱われるようになってきました。これらは人々が遺伝子組み換え作物、クローン、環境ホルモンなどの問題に関心があることを示しており、とてもいいことだと思います。しかし、DNAの研究について、本当に知っているのか、ただ週刊誌などの言うことをうのみにしているのではないかとも思っていました。どうも、遺伝子操作などという言葉を聞くと良いイメージが浮かんでこないのが現状ではないかと思います。なぜなら、僕もそうだったからです。しかし、この本を読んでよくよく考えてみると、昔から行われてきた作物のかけ合わせも確かに一種の遺伝子操作なのです。また、遺伝子操作は人間の力が加わってのみ行われることだと思っていましたが、自然界でも起こっているということが書いてあり、これには驚きました。クローンも植物界では普通に起こっていること、というのも驚きでした。
 DNAやそれに関わる問題を考える時、ただ単に目前にある問題を良い、悪いと判断することはとても危険なことだと思います。良い、悪いと判断できるだけの知識を身に付けることが重要だと思います。週刊誌や新聞も情報源としては良いものと思いますが、書いてあることをそのまま信じて、これは良さそうとかこれは悪そうと考えるのは、問題の解決にはならないと思います。この本の著者が言っている「生きものを単位に色々な問題を考える」という考えには僕も賛成です。しかし、この本を読まなければ、そういった考え方があることにも気付かなかったと思います。DNAやそれに関わる問題を考える時、その研究の歴史、科学者の考え、その問題に対する色々な機関の試みなど、多くのことを知る必要があると思います。それらの知識を持ったうえで自分で判断するということが重要だと思います。DNAの問題を考えるうえでこの二冊の本が全てだとは考えていません。しかし、とてもすばらしい糧になったと思います。DNA、遺伝子に興味を持っている人はぜひ読んでほしいと思いました。


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