優秀作品(5)
熊本大学
生命資源研究・支援センター
バイオ情報分野
荒木 正健
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2003年 5月10日更新
『心はつながっている』(法学部)
まず驚いたのが、グエン・ドク氏のとても前向きな生き方に対してである。結合双生児として生まれた事を悲劇ではなくいつも兄と一体でいることができたと思い、分離手術後は自由に動き回れる事に最大の喜びを感じ、片足であることを大変なことだと感じさせないような、活動的な生活を送っている。そして、寝たきりとなった兄への思いやりを忘れないように常に強く意識して生きている姿は、まぶしいほど立派で人間味にあふれていると感じた。
しかし、そんなドク氏の姿に感動すれば感動するほど、強く沸き上がってくるのが枯葉剤を用いた戦争への怒りである。もしあのように卑劣な行為が行われなかったら、ドク氏は両足を手に入れ、大好きなサッカーを思う存分楽しんだり、留学やボランティア活動も不自由なく行ったりしていたかもしれない。もちろん、困難な状況下だったからこそあの強く優しい精神が培われたという考えも否定できない。しかしドク氏の他にも、枯葉剤の後遺症に苦しむ数え切れないほど多くの人々が存在する。奇形が判明し、妊娠中絶により存在すら許されなかった命もある。生命科学Gの講義の中でDNAが破壊される事や遺伝病の恐ろしさを知ったが、それだからこそ余計に、ヒトを外部からのみにとどまらず内部からも意図的に破壊しようとする戦争のやり方に、強い憤りを感じるのだ。アメリカは正式な謝罪を行う事はもちろん、後遺症で苦しむ人々を救うべき立場にある。私はそれが実現される事を望むと共に、私自身もドク氏の姿から感じ取った事を自分の行動へ移して、彼のメッセージを忘れないようにしなければならないと思っている。しかし、そうは言っても突然一個人が高度な政治や医療の問題に取り組むのは困難であるので、まずは自分や他の人々の命の重さを再認識し、毎日を大切に生きていくことから始めたい。それが平和への第一歩になると信じている。
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*****2002年度・優秀作品*****
冬休みの課題レポート・2002
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