2006年度 レポート第11回 回答集

熊本大学
生命資源研究・支援センター
バイオ情報分野
荒木 正健
Tel : (096) 373-6501, FAX : (096)373-6502
2007年 9月06日更新

2006年度 最前線の生命科学C レポ−ト第11回(2006年12月20日実施)回答集

[ テーマ ]「出生前DNA鑑定について」

[ 回答 ](全10人)

・自分は出生前のDNA鑑定については、現在様々な方法があるみたいであるが、調べた限りでは、どれも数%の割合で胎児の死亡例や流産等の報告がされているようである。また、染色体異常のDNA鑑定を医師から進められなかったために遺伝病をもった子供を育てなくてはならなくなったとして、医師を訴えたという事例もある。これからDNA鑑定の技術が進んでいくなかでこのような問題が多数でてくると思われるが、世論や人々のDNA鑑定に対する知識は十分ではないように思われる。一般の人にこの知識を浸透させるのは難しいが、メディアに期待したいと思う。 (工学部)

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  出生前DNA鑑定については、あなたが書いているように様々な問題があると思います。メディアの責任もありますが、小学校等の教育において、もっと生命科学を重視すべきではないかという気もします。 (コメント by 荒木)

・私は出生前DNA鑑定自体はあまり良いとは思いませんが絶対に反対だという理由も特にありません。出生前DNA鑑定を認めた場合、必ず子供の産み分けをする親が出てくるでしょう。こういった場合では出生前鑑定はあまり賛成できませんが、もし父親が誰か分からない子供を出産する時に生まれる前にどうしてもその子の父親が誰なのかをハッキリさせる必要がある時に、それに対応するには出生前DNA鑑定が必要な場合もあると思います。今の自分の立場や知識ではどうしても倫理的に出生前鑑定は良くないと言う考えを持ってしまいがちですが、私の予想もしないような状況で出生前鑑定が必要になる場合は必ずあると思います。そういったことを考えると私は出生前DNA鑑定が良いか悪いかは状況次第だと思います。(工学部)

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  「父親が誰か分からない子供を出産する時に生まれる前にどうしてもその子の父親が誰なのかをハッキリさせる必要がある時」というのは、例えばレイプ事件の被害者が妊娠した場合も該当すると思います。自分の恋人や夫の子供なのか、犯人の子供なのか、知りたいと思うのは当然だ と思います。技術的に問題が無く、本人がきちんと内容を理解した上で希望するのであれば認めても良いのではないかと思います。しかしながら、この場合でも「命を選別する」という行為である事は否定できません。逆に、これまでは問答無用で(検査されずに)中絶を行うしかなかったが、これからは合理的に(検査をして)犯人の子供の場合だけ中絶するという考え方もあります。 (コメント by 荒木)

・私は出生前DNA鑑定は個人の自由により行うことが出来る形にすると良いと思う。ただ、そこには厳格な条件をつけ、安易に出生前DNA鑑定を行うことが出来ないようにするひつようはあると思う。理由としては、何かしら新生児に障害、病気がある条件がみとめられた時に、親は早めに知っておきたいと思うと思ったからだ。しかし、むやみやたらに鑑定を行い、簡単におろすという行為をする人が増えるといけないので、ルールを作る必要もあると思う。(教育学部)

・自分の子供が生まれる前に遺伝病などの鑑定ができるのはいいことではないかと思うが、その鑑定の結果次第で命の選別につながってしまうのは恐ろしいことだ。産むという前提で鑑定を実施しなければいけないと思う。 (文学部)

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  「出生前遺伝子診断」ではなく「出生前DNA鑑定」と呼ぶのは、いわゆる親子鑑定や男女の産み分けなどを含むからです。ダンナの子供なら産むが不倫相手の子供なら中絶する・・・というケースも考えられます。このテーマはとても重要だと思いますので、出来れば1月17日の講義でディベートを行いたいと考えています。   (コメント by 荒木)

・私は出生前DNA鑑定については賛成です。なぜなら、重い遺伝病などが子どもに発病しないようにするには有効な手段だからです。しかし、命の選別をするという倫理的な問題もあるので、命にかかわる重い遺伝病だけ実施するべきだと思います。(工学部)

・DNA鑑定をするかしないかは子を持った時にしかわからないと思うのが正直なところです。でも今、子供を授かったとしたら鑑定してもらうかもしれません。生まれてくる子供への責任をもてるか不安だからです。鑑定をすること自体はけして間違いにはならないと思います。大学病院の小児科には奇形児の子供達がたくさん通っています。その姿を見ると胸が苦しくなります。親は子供を生むのは選択の自由がありますが同時に責任も負います。鑑定をしてみてから検討するのも間違いではないと思います。(教育学部)

・私は、出生前DNA鑑定をすることに反対ではありません。もちろん「重い遺伝性疾患」の場合に限られるべきですが、生命の選別という点において、言い方は良くないかもしれませんが、仕方ない部分もあると思います。4〜5%の染色体転座と知らずに流産を繰り返すことは母体にとって辛いだけだと思います。しかし、受精卵をなくしてしまうことこそ肉体的にも精神的にも痛ましいことです。それを繰り返さないためにも着床前診断を行なって疾患に気付けたら、負担も少しは軽くなるのではないかと思います。(教育学部)

・何度か前の授業で遺伝子診断について学習した。遺伝子診断の主な目的は先天的な異常に気付く事であった。一方、DNA鑑定となると、子供の細かな性格まで分かる。アメリカでは「精子バンク」と言う物があるそうだが、いい遺伝子を欲しがる女性がいるというのも事実であろう。
 自分の子供に苦労をさせたくない!という親心はあっても良いと思うが、いい性格を持った子供を!というのは共感できない。確かにすごく頭の良い子やスポーツの出来る子が自分の子供だったら鼻高々かもしれないが、所詮それは親がそうなりたいという願望を子供に押しつけているか、自分の子供の自慢をしたいかのどちらかだと思う。私は自分の子供がどんな性格を持っているのかとかではなく、その子供という存在自体が大切で、素晴らしい事なのだと考えている。
 また、自分の夫や妻以外の遺伝子を使うという事は、必然的に体外授精、そして妻に子宮が無い場合は代理出産という事になる。前回の授業では主に代理出産について考えたわけだが、正直すごく難しい問題だと思った。「自分の」子供が欲しいという人や、とにかく「子供」が欲しいという人もいる。それぞれ代理出産の意義が違う。だから代理出産は良い事だ!とか、絶対ダメだ!とか、一般的には言えない。すごくあいまいだが、ケースバイケースというのが私の考えだ。でも基本的には向井さんのような場合は法律で認めてほしい。私は男なので女性ほど子供が欲しい気持ちはないかもしれない。でもあんな風に多くの協力を集めて必死に頑張った人を認めないのは、単純にすごく悲しい事だと思う。これからもっと論争を巻き起こすだろう。一刻も早く法改正が進んで、本当に子供を欲しがっている人にチャンスを与えてほしい。 (文学部)

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  立派なレポートだと思います。確かに、「精子バンク」の存在も考えさせられますね。「カタログチャイルド」や「デザイナーズチャイルド」という言葉もありますし、「出生前DNA鑑定」という言葉には、私自身違和感を感じます。(コメント by 荒木)

・自分は反対だ。出生前DNA鑑定をすることで男女の生み分けができるようになるかもしれないし、病気など何か不都合なことが発見されたら生まれてくる命を棄ててしまうかもしれない。特に男女の生み分けは人口の男女のバランスを崩すのに繋がる気がする。(文学部)

・出生前に子供の状態がわかってしまうこと、それによっていろいろな人がいるので中にはそんな子供ならいらないと思う人もいるかもしれない。前回レポートを提出した、出生前の鑑定との違いがいまいちわからないので次の授業で詳しく教えていただきたいです。 (教育学部)


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