優秀作品(4)

熊本大学
生命資源研究・支援センター
バイオ情報分野
荒木 正健

Tel : (096) 373-6501, FAX : (096)373-6502
2007年 5月20日更新


『時間の分子生物学』(薬学部)

(1)この本を選んだ理由を書いて下さい。
 体内時計、睡眠、分子生物学というものがそれぞれどのように関係しているのかという点において興味を持ったため。また熊本大学の方が作者なので、興味を持ったとき色々と面白いお話を聞けると思った。

(2)この本で著者が一番伝えたい事は何だと思いますか?
 専門知識の無い人々にも、謎の多い分野である「睡眠」と「生物時計」ついて分かりやすく説明し、またそれについての最新の情報を大まかに伝えることです。

(3)この本を読んで感じた事、考えた事を書いて下さい。
 この本を読み終えることに苦しさは無く、最初から最後まであっと言う間に読んでしまいました。率直に感じたことはまず、とても分かり易かったです。特に印象に残っているには24時間周期の生物時計の部品となっているピリオド、タイムレス、クロック、サイクルというそれぞれの遺伝子の活動機構と哺乳類の場合ではタイムレス遺伝子の代わりに光を感じるタンパク質であるクリプトクローム・タンパク質が働いているということです。
 作者はこの遺伝子をサブテーマにし、見事哺乳類の生物時計の部品を全て見つけることができたわけですがその際、クリプトクロームは概日周期に関係しているという別の科学者の情報によって発見することが可能になったので、その科学の連携というものはパズルのようで面白そうだなあと改め感じました。また、ショウジョウバエを使った睡眠の量のデータを取るとき、睡眠の最短単位を睡眠を取る時間でなく活動する時間に焦点を当てたことは素晴らしい考察力をもっている証拠です。将来科学者を目指している自分にとってはこの機転、発想の転換のような考察力が分野を問わず大切なんだということを学ぶことができました。
 最後の方に記述されていたナルコレプシーからオレキシンの発見、更にそこからの新たな睡眠薬の開発部品も興味深いものがありました。もちろんオレキシンの機構についても面白かったですが、オレキシンを発見するまでの過程が病気から原因遺伝子を発見しょうとする順方向性の遺伝子学と、作用の分からない遺伝子からどのような病気が起こるのだろうと考える逆方向性の遺伝子学の二つの方向性があるのだということが興味深かったです。
 科学とは何か足りないパズルのピースを探すため様々な視点が大事なんだということを生物時計と睡眠のメカニズムと同じくらいこの本から学ぶことができたと感じています。
 今までこのような本はあまり読んでいませんでしたが、今回の事を機に興味を持った分野また、全くの興味の無かった分野のことも知りたいという知識欲が芽生えてきました。このような気持ちにさせてもらって良かったと、とても感謝しています。


*****2006年度・優秀作品*****
冬休みの課題レポート・2006
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