DNAを切ったり、貼ったりするってどういうこと?
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みなさんは遺伝子の鎖の部分を部分的に切断したり、切断した部分に別の遺伝子の断片を挿入する技術である遺伝子工学という技術を知っていますか?ここでは、遺伝子工学の材料である制限酵素という酵素とPCRという遺伝子の増幅についての説明をしたいと思います。
Q:制限酵素とは?
A:DNAがA(アデニン),G(グアニン),C(シトシン),T(チミン)という4つの塩基のランダムな配列によってできていることは前の展示でも書いてありましたが、制限酵素というのはある特定の塩基のDNA配列部分だけに狙いを定めて、その部分でDNAの鎖を断ち切ってしまう能力を持った酵素なのです。
上の図ではEcoRTとAluTという二つの制限酵素がそれぞれ
異なる位置でDNAの鎖を切断しています。このように酵素が違えば切断する位置も変わってきます。
制限酵素は最初大腸菌から発見されました。大腸菌はこの酵素を持つことで、侵入してくるウイルスのDNAをばらばらに切断して、ウイルスの感染から身を守っているのです。
図の最後にリガーゼとありますが、これは修飾酵素と呼ばれ、切断されたDNAの鎖同士を再びくっつけることのできる酵素です。
制限酵素と修飾酵素のおかげで遺伝子を直接操作することが可能となったわけです。
次に遺伝子組換え技術を使った簡単な応用例と、日常生活で活用されている例について説明したいと思います。
Q:光る大腸菌ってどうやって作るの?
A:みなさんは光を発する生き物として、何を思い浮かべますか?ホタルや蛍光クラゲなど多くの生物が光を発しますが、ここでは蛍光クラゲにスポットを当てたいと思います。蛍光クラゲの持つ遺伝子には、蛍光を発するタンパクを作り出す部分があり、そのタンパクを作り出すことで蛍光クラゲは光を発することができるのです。
では、この蛍光タンパクを作り出す遺伝子部分を制限酵素を使って切りだし、これを遺伝子の運び屋であるベクターの遺伝子に修飾酵素をつかって組み込んでみて、そのベクターを大腸菌の菌内に入れたら一体どうなるのでしょうか?...これは展示で結果が示されるので、ぜひご覧になって下さい。この実験の手順について次のページで簡単に図で示しておきます。
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