とにかく最初から最後まで夢中で読んでいました。"DNA""PCR"と科学的な用語は頻繁に出てきたけれど、そんなに堅苦しい話ではなく、まるで1つの物語を読んでいるように感じました。
ミトコンドリアDNAが母系遺伝である、ということを、この本を読んで初めて知りました。遺伝と聞くと、両親の遺伝子が均等に受け継がれるイメージが強いせいか、ミトコンドリアDNAによって共通の母系をたどっていく方法にはとても驚きました。
世界中からDNAを集め、地道に研究を重ね、新たな発見を繰り返していく…。そんな研究者たちの熱意に圧倒されました。一つの発見が注目され、議論を生み、評価を受けたときの研究者たちの気持ちを考えると、私もうれしくなりました。また同時に、一つの研究成果を世間に認めてもらうことの難しさを感じました。
私の"母"は一体誰なのか、とても気になります。私、私の母、私の祖母…と、私まで昔から受け継がれてきたこのミトコンドリアDNAは、誰のものなのか、機会があれば調べてみたいです。
紹介にあったように、人権や民族の違いで争うのは本当に無意味であると思えました。科学研究の過程が、そのまま一つのストーリーになっているので、この本を多くの人に読んでもらいたい、人類が皆"一つの家族"であることを感じてほしいです。
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