優秀作品(6)

熊本大学
生命資源研究・支援センター
バイオ情報分野
荒木 正健

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2004年 4月17日更新


『時間の分子生物学』(文学部)

 私は文学部の人間で、自分のことを古典的に文系人間だと思っている。なので数学とか記号の羅列には弱く、目にすると眠気が襲ってくる。しかし、この本ではその退屈に感じてしまいがちな実験や、説明もとても熱心に分かりやすく書いてあったので、なんとか最後まで読み通すことが出来た。正直言って、本を読み進めても、最初から抱いていた興味からなかなか発展していかなかったので、少し苦しい時期もあった。しかし、読み終わった今考えてみると、「生物時計」や「睡眠」について基本的な知識が得られたし、色々な実験や、研究について説明があったので「理系の人はどんなことをやってるのか」ということに対し、以前よりは深い理解ができたつもりだ。「睡眠」に最も大きな関心を持っていたが、この本では、というよりも現在の研究成果では、まだ解明の入り口あたりだと知り、少し残念だった。逆にこんなに身近なものにそんなに謎が多いとは魅力的にも感じる。しかし、ナルコレプシー研究により、オレキシンという食欲と睡眠の両方に関係が深い物質が発見されたことはとても画期的だ。なんでもオレキシンは覚醒物質で、食欲を高め、満腹になると減少し、眠気を誘うらしい。これはつまり、「腹いっぱい」になるまで生物は、エサを探すために起きていなければならず、それをオレキシンがコントロールしていることになる。このことから「食っちゃ寝」という言葉が科学的に裏付けられたのではないだろうか。「食欲」と「睡眠」は密接なつながりを持ち、そしてまず「食」その後に「眠」の順番の意味が普遍的な根拠をもって持っていたのだ。そして前にも書いたが、発見に到達するまでの実験や研究に程よくスポットを当てているのが私には面白かった。実験では、この本の影の主役とも言っていいショウジョウバエも捨て難いけれども、最も印象的だったのは、ネズミの断眠実験だ。なんとかネズミを眠らせないように、しかも純粋に不眠の効果を調べるために作った水上の装置は、そういう実験から縁遠い私には拷問としか、思えなかった。また、ナルコレプシー研究の2つのグループの道程には、研究と成果の奇妙な関係が見てとれて、人の運命にも似た奥深さを感じる。


*****2003年度・優秀作品*****
冬休みの課題レポート・2003
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