優秀作品(8)

熊本大学
生命資源研究・支援センター
バイオ情報分野
荒木 正健

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2004年 4月17日更新


『時間の分子生物学』(医学部)

 私達は、現在、何も考えずに時計を利用し、1日の生活は時計によって動かされていると言っても過言ではないだろう。その正確さはすさまじいものであり、学校では、1分遅れるだけで、怒られてしまう。それに対して、今まで私は、動物は、気ままに生活しているのだとばかり思っていた。しかし、実際は、動物は、概日周期に基づき、ほぼ正確に1日を過ごしていると知り、大変驚いた。それは人間に関してもいえることで、以前読んだ漫画では人間の周期は、25時間くらいだと言っていたのだが、実際に測定したところ、ほぼ、24時間だと分かったということで、やはり地球という星に適応して生活していたのだなぁと実感した。また、ほぼ24時間とはいえ、やはり個体差があり、気の早いものや気の長いものもいるのだということを知り興味深く感じられた。
 さらに驚かされたことに、動物は自身の持つ生物時計を使い、方角や季節まで知っているということがあげられる。しかも、その方法というのが、いわゆる日付表を持つのではなく、1個の生物時計だけを使い、それを基した計算を行っているのである。その計算は自分でしようと思っても大変なものであるのに、それをいとも簡単に成し遂げている生命というものの偉大さに感動させられた。
 次に、脳内における生物時計についてだが、確かに自分の経験を振り返ってみると、光が当たることによって目が覚めたり、起きなくてはいけないと思っていると、目覚ましの鳴る少し前に起きることが出来たということ、朝に比べ午後は時間の経つのがすごく遅く感じたりといったことを多々経験していると思う。そういったことは、脳内のホルモンといったものが関係しているのだとは知らなかったので、大変ためになった。
 遺伝子に関してであるが、この部分は、若干難しく、完全に理解したとはいえないが、いくつかの特定の遺伝子によって睡眠は支配されているのだということが分かった。特に驚いたことは、ヒトもハエも同じような遺伝子を持っていて、それは交換可能だということである。あんなにも形が違い、共通の祖先を考えることさえも難しい生物同士が、同じ遺伝子を持っているということで、初めて、昆虫というものも、我々と同じ祖先から進化してきたのだなぁと感じられた。
 睡眠については、やや専門的であり、難しかったが、ハエの睡眠を含め、さまざまな動物と人間は大変違った睡眠形態をとっているのだなぁと実感させられた。というよりもそれぞれの動物がそれぞれの違った睡眠形式を取っているのかもしれない。中でも驚いたのは、イルカの睡眠様式で、片方の脳ずつ睡眠できるとはなんて器用なんだろうと驚かされた。
 病気であるナルコレプシーなどは、以前にも聞いたが、月並みな感想ではあるが、不思議で、その患者には大変な病気だと思われた。
 その原因はどうやら遺伝子にあるようなので、より研究が進み、治療に役立つといいと思う。これから、睡眠については、ますます解明されていくと思うが、軍事技術等に悪用されるのではなく、生命の不思議を解き明かし、患者さんの治療に役立つといいと思う。


*****2003年度・優秀作品*****
冬休みの課題レポート・2003
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