優秀作品(2)

熊本大学
生命資源研究・支援センター
バイオ情報分野
荒木 正健

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2008年 2月18日更新


『生物と無生物のあいだ』(工学部)

(1)この本を選んだ理由を書いて下さい。
 以前、講義の中でプリオンは生物か無生物かというレポート課題で、自分は無生物だと思ったが、何の根拠もなかったので、この本を読んで少しでも理解できればと思い選びました。

(2)この本で著者が一番伝えたい事は何だと思いますか?
 研究は個人の営みであり、その研究の中で、著者が考えた「生命の定義」について

(3)この本を読んで感じた事、考えた事を書いて下さい。
 私はこの本を読む前に、そしてこの講義を受ける前に生物と無生物の違いなど、考えた事ありませんでした。しかし、授業でプリオンは生物か否かという問いに対して、まだ論争の途中である事は置いておいても、自分の中ではっきりとした答えが出せず、気になっていました。
 この本では序盤に生命とは自己複製するシステムと定義されていますが、これでは解決しませんでした。なぜなら、講義でプリオンが自己複製するシステムであることは知っていたし、その複製の仕方やウィルスの複製の仕方がヒトのものとだいぶ違っていたからです。実際に、ウイルスの複製の仕方は寄生虫のものと似ているけれども、それでも一切の代謝を行わず、「結晶化」することもできるウイルスが生物とは思えません。著者が書いているように、生命の律動、つまり、生きている感じがしません。私の場合は何となく感じているかもしれませんが、実際にウイルス粒子単体は無機的で、硬質の機械的オブジェのようなものだとも述べられている。この点において、やはり、ウイルス等は私は生物ではないと思います。しかし、ただの「物」でもないと思います。かなり、曖昧な答えになるかもしれませんが、私はウイルスを「半生物」であり、「半無生物」であると思いました。
 次に、再定義された「生命とは動的平衡にある流れ」とはとても良く理解できました。中学1年生の時だったと思いますが、先生に卒業する時は細胞が入れかわっていると言われたことがあります。私自身の体はあり続けているのに、細胞は壊され、作られ、どんどん新しくなっていく。きっと、この流れが「動的平衡にある流れ」なんだと思いました。結局、生物と無生物の間の境界線を明確に見つけられた訳ではないけど、生命というものを考える上でとても参考になった本でした。
 また、科学者についての話も大変おもしろかったです。教科書には載っていなそうなこと、PCRの誕生話など意外なものばかりでした。DNAの二重螺旋構造を提唱したクリックスとワトソンの影にいたフランクリンという女性の存在など、科学について色々な事を学ぶ上で、このような偉大な科学者についても学ぶ楽しさを与えてくれました。


*****2007年度・優秀作品*****
冬休みの課題レポート・2007
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