2001年度 教養科目
I 自然と情報  生命科学G
−−夢の技術PCR−−

熊本大学・遺伝子実験施設
  助教授  荒木 正健
熊本市本荘2−2−1
Tel : (096) 373-6501, FAX : (096)373-6502
2002年 3月19日更新


冬休みの課題レポート・2001

 冬休みの間にどれか1冊読んで、レポ−ト(別紙書式)を提出して下さい。このレポ−トに関しては、下記基準に従い、私の独断で5段階評価(5点〜1点)します。

5;発想がユニ−クで、その問題を議論する場合に大変参考になる。
4;論理的思考を行い、人を説得する力がある。
3;素直に感想を述べ、自分で感じた事、考えた事がきちんと書いてある。
2;自分では何も考えていない。
1;本当に読んだかどうか怪しい。

 この「冬休みの課題」と期末試験(8点満点)は必須項目とします。どちらを欠いても単位は認めません。また通常のレポ−ト(出席)を各1点とし、「冬休みの課題」及び期末試験の点数と合わせて総合評価します。

(25点満点/25−20:優、19−18:良、17−15:可、14−0:不可)

 「冬休みの課題」提出期限;2002年 1月23日

1)『イエスの遺伝子』
マイケル・コ−ディ 著、 内田昌之 訳、
   徳間書店、510ペ−ジ、1,800円    [1998年3月]
 SF。遺伝子スリラ−。たったひとつの体細胞から人間の遺伝子すべてを解読できる装置“ジ−ンスコ−プ”の発明から始まる新しい世界。遺伝子工学とキリスト教。ベンチャ−企業と秘密結社。大変「面白い」小説ですが、いろいろ考えさせられることも多いと思います。

2)『死の病原体 プリオン』
  リチャ−ド・ロ−ズ 著、桃井健司・網屋慎哉 共訳、
草思社、286ペ−ジ、1,900円    [1998年7月]
 ノンフィクション。現在の医学・生物学の常識では理解できない驚異の病原体プリオン。1997年度のノ−ベル生理医学賞を受賞したスタンリ−・プルシナ−など、狂牛病で一躍有名になった各種感染性スポンジ状脳症の研究者へのインタビュ−に基づくドキュメンタリ−です。牛肉だけの問題ではなく、ベジタリアンでさえ安全ではありません。現在、静かに進行しつつある人類の危機を警告する本。

3)『動き出した遺伝子医療 −−−差し迫った倫理的問題−−−』
  松田一郎 著、
裳華房、113ペ−ジ、1,400円    [1999年5月]
 「遺伝子、それはもはや、単なる分子生物学の専門用語ではなく、人類を含めた生物系全体の存続を問う現代思想のキ−ワ−ドになった。」 遺伝子診断及び遺伝子治療について、専門家以外の人に語りかけた本。

4)『脳死は本当に人の死か』
  梅原 猛 著、
PHP研究所、189ページ、1,100円    [2000年4月]
 厚生省の脳死臨調の委員のひとりとして、「隠された十字架、法隆寺論」や「水底の歌、柿本人麻呂論」で有名な梅原猛氏が、哲学者としての立場から脳死問題に真剣に取り組んだ本です。後半の柳田邦男氏との対談も、読みごたえがあります。

5)『生きてます、15歳』
  井上美由紀 著、
ポプラ社、222ページ、1,200円    [2000年7月]
 体重わずか500gの超未熟児として誕生した全盲の女の子の自伝。人は、普通40週間母親の体内で成長します。彼女は24週でこの世に生まれてきました。医学の進歩と、本人及びまわりの懸命な努力により生き延びることが出来た訳ですが、未熟児網膜症のために目が見えません。生きることの大切さを感じて下さい。

6)ヒト「ゲノム」計画の虚と実 
 清水信義 著、
    ビジネス社、253ページ、1,500円    [2000年11月]
 平成12年11月21日に開催した「第4回 熊本大学・遺伝子実験セミナー」の講師のひとり、慶応大学の清水先生が書かれた本です。日本のトップランナーが、研究、教育、政治、企業活動、生命倫理、病気の診断と治療など、幅広い分野に関して熱い思いをぶつけています。セミナー終了後の懇親会で話された、「命懸けで書いた本」という言葉が忘れられません。

7)『心はつながっている』
  グェン・ドク 著、 グェン・ファン・ホン 訳、
幻冬舎、189ページ、1,000円     [2001年3月]
 あの「ベトちゃん・ドクちゃん」という愛称で呼ばれ、ベトナム戦争の後遺症と言われた双子も20歳になりました。ベトナムで大量散布された『枯葉剤』の主成分であるダイオキシンが、ごく普通のゴミの焼却によって発生することが分かった現在、グェン・ドク氏の苦しみはヒトゴトではありません。レポートとは関係なく、ひとりでも多くの人に読んでほしいと思います。


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