優秀作品(3)

熊本大学・遺伝子実験施設・荒木正健
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2002年 3月19日更新


『生きてます、15歳』(工学部)


 まず表紙をみて、いきなり驚いてしまった。そこには、サブタイトルとして、「500gで生まれた・・・」と書かれてあった。たった500gの赤ちゃんでさえ今の医療は生き延びさせることができるのだ。そこには美由紀さんとお母さんのがんばりもあったはずだが、正直現代医療のスゴさに酔ってしまった。しかし、読み進んでいき、お母さんと美由紀さんのがんばりを知っていくうちに、これこそがこの二人を生き延びさせたということに気づいた。いかに技術が進歩したとはいえ、それをほどこすのは人間。そこには心理的な面も関係するだろう。それゆえ、受ける人の形にはしづらいが「生きたい」「治したい」という意思が大切になるのだ。そもそも、医療を受ける人々(患者)たちのその意思にこたえるため医療技術は進歩してきたはずだ。今の僕たちはどこかそれを忘れてしまっている気がする。そして技術は利益を求めて一人歩きをしている感じさえある。この技術の行き先が「命を救う」という究極の利益であるよう願いたい。
 生きることの素晴らしさ、喜びを見つけにくい現代において、このような本に出会えて本当に幸せだと思う。現代社会が忘れてしまいそうになっているものが全てこの本にあったと思う。専門的な知識を身に付けることはできなかったが、それ以前のもっと根本である、「人間」について考えることができた。そしてその「人間」を支えるのは愛情、信頼、友情。すべてきずなが形を変えたものだ。それを改めて実感できたのが、この本を読んだ一番の収穫だと思っている。


*****2001年度・優秀作品*****
冬休みの課題レポート・2001
教育活動
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