優秀作品(4)

熊本大学・遺伝子実験施設・荒木正健
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2002年 3月19日更新


『動きだした遺伝子医療ー差し迫った倫理的問題ー』(文学部)


 講義の内容と同じような流れで話が進んでいく感じだったので、とてもわかりやすかった。遺伝子学、というよりも、私たちがこれからどのようにいきていくか、というような哲学、人生論等が問われているような気がしてならない。殊に胎児の遺伝子検査に、私は関心をもった・一番の問題は、胎児がいつから人間としての人権などが認められるか、にあると思う。私の考えとしては、やはり、胎児にも人権はあるように思うし、私が実際に妊婦になったちしたら、恐らく胎児の遺伝子検査はしないように思う。人間は誰しも、遺伝病と関係した変異遺伝子を5〜10個もっている保因者であるというならば、生前から知りすぎるのは、はたして本人にとって良いことなのかどうか、疑わしいからだ。しかし、事前に検査をすることで、その病気を防ぐことができる、という保証があれば、進んで検査をするかもしれない。しかし、そのためには、まだ私たちの知識や価値観、考え方がまだ上手く、"遺伝子”というものにといていっていない気がしてならなく、単に技術を求めるのではなく、私たちの一人ひとりが、"遺伝子”というもの、そしてそこから生じる様々な問題に対して、偏見のないまっすぐとした目をもつことが必要不可欠だと思われる。そうしなければ、遺伝子治療には多くのリスクが伴うように感じた。いささか気になったのは"中絶”の問題だ。遺伝子治療の問題点を読んでいると、中絶の問題が重く感じられた。果たして母体保護などというが、どこまでが保護なのか、生命の誕生という点をもう一度考え直し、初心にかえる必要もあるのではないだろうか。あまりに遺伝子レベルばかり見続けると、命の本質を忘れていきそうな気がしてきて、いささか恐ろしくなった。著者は、この盲目になりがちな点を示唆しているのではなかろうかと思う。


*****2001年度・優秀作品*****
冬休みの課題レポート・2001
教育活動
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