優秀作品(14)
熊本大学
生命資源研究・支援センター
バイオ情報分野
荒木 正健
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2007年 4月30日更新
『1リットルの涙 難病と闘い続ける少女亜也の日記』(工学部)
(1)この本を選んだ理由を書いて下さい。
私自身が先天性の障害を持っています。そのため人が当たり前のようにできることが私にはできないということはたくさんあり、それらのことを私は一度もできたことがありません。しかし亜也さんは今までできたことが突然できなくなるという経験をしています。ですから私とは違う視点で障害を考えることができると思いこの本を読もうと思いました。
(2)この本で著者が一番伝えたい事は何だと思いますか?
この本を通して亜也さんは障害を持っていたことでいろんなことができなくなるかもしれないけどできないことをいつまでも悔やむより今できることを一生懸命やって生きていくことが大事なんだと伝えたかったのだと思います。
(3)この本を読んで感じた事、考えた事を書いて下さい。
この本を読んで感じたことはまず、障害を持つことでできる事をどう受け止めたら良いのかの判断が難しくなることです。例えば手すりにつかまりながらなら歩ける。しかし時間がかかってしまうため授業に間に合わなくなる。車イスを使えば楽に行きたい所へ行くことができる。このようなときに歩くか車イスを使うかの判断はとても難しいと思います。できるなら他のことを差し置いてでもやるべきなのか、それとも他のことを優先するべきなのか、どちらかを選ぶかは人それぞれだと思います。私自身の考えとしては普段はなるべく歩いた方が良いと思います。時間がかかるなら早めに行動を起こせば良い、もし距離が長いのなら途中まで車イスを使い途中から歩くなどの工夫をし、少しでも歩くことを取り入れた方が良いと思います。歩くことをやめてしまったら本当に歩けなくなってしまうので、リハビリの意味も込めて歩いた方が良いと思います。私が歩いた方が良いと考える理由はすでに述べたこともその1つですが一番の理由は手すりをつかめば歩けるのに車イスを使って移動することはただ甘えているだけではないかと考えてしまうからです。私自身努力すればもしかしたらできるかもしれないことを物や周囲の人に頼ってしまう。そういったときに私はただ甘えているだけではないのかと思うことは良くあります。何ができて、何ができないのかは周囲の人はもちろん本人にすら良くわかりません。ですが最終的にどうするかを最終的に決めるのは本人です。周囲の人は選択肢を与えるだけが、本人が助けを必要とするときだけ助けてあげるべきだと思います。親切のつもりで手伝ってもそれが本人のためになるとは限りません。もし本人が安易な道を選ぼうとするときは心を鬼にして叱る必要もあると思います。
次に感じたことは周囲の人との人間関係です。障害を持つと他の人と異なった行動をとらなければならないことがよくあります。例えば体育の授業ではよく見学させられます。そんな時に周囲の人は「いいな〜」などの言葉を口にします。確かに周囲の人にとってはやりたくないことを無理矢理やらされるより休んでいた方が良いかもしれません。しかし、見学する側は自分だけが仲間はずれされたような気分になり孤独感とできないという悔しさで胸がいっぱいになり、さらに周囲の人の言葉で傷ついてしまうこともあります。少しでもいいからみんなと同じことがしたい、でも同じことをするとみんなに迷惑をかけてしまう。サポートしてくれる人はたくさんいると思います。それでも周囲の目を気にして何もしない方が良いと思ってしまうことはたくさんあると思います。
次に考えたことは障害というものをどう受け止めるべきかについてです。よく障害や難病を持ったりすると「どうして自分だけがこんな目にあわなければならないのか」と考えてしまうと思います。私自身も考えたことがあります。そしてよくそんな時に周囲の人は「不幸なのは自分だけではない、世界中にはもっと不幸な人はたくさんいる」と言います。確かにその通りだと思います。本人もそのことはわかっていると思います。しかし、そのことを理解したからといって苦しみが消えるわけではありません。ですが、自分には障害や難病がある。これはどうしょうもない事実、でもこれは不幸じゃないただの個性なんだと受け止めることができる人は本当に精神的に強い人だと思います。障害があってもなくても辛い経験をしたことがない人などいないと思います。どんな人でも何らかの苦しみを抱えています。そして人それぞれ抱えている苦しみは違うと思います。でもその苦しみが本人にとっては一番の苦しみであることに変わりはありません。ただ障害を持っている人達はその苦しみが「障害」という形で表れているだけだと思います。だから「障害を持ったから不幸だ」という言葉を口にするのではなく、どんな人でも抱えるたくさんの苦しみの中の一つとして障害を特別視することなく受け止められるようになれたら良いと私自身は思います。
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