優秀作品(15)
熊本大学
生命資源研究・支援センター
バイオ情報分野
荒木 正健
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2007年 4月30日更新
『1リットルの涙 難病と闘い続ける少女亜也の日記』(教育学部)
(1)この本を選んだ理由を書いて下さい。
以前、テレビドラマでこの物語を見ていたが、心に打つ感動が止まらなくて、また、原作とは違う部分もあると聞いていたので、これを機に読もうと思った。
(2)この本で著者が一番伝えたい事は何だと思いますか?
生きる希望を忘れずに前向きに生きていくことの尊さ。
(3)この本を読んで感じた事、考えた事を書いて下さい。
命―自分の人生、または他人の人生を早く終わらせてしまう人達がいる。それも病気なのではなく、自らの意志でそうしている。きっと昔から自殺も殺人もあったのだろうが、私が知る限りでは、その数が増え、また報道も増えているのが目立つように感じる。私はこの本に記されている亜也さんの言葉の中で最も胸がつまった部分がある。「どん底にいる。だけど不思議に、死にたいとは思わない。」これは亜也さんが17歳の時、健康体から不自由な体になって、人生が大きく変わってしまったという苦しみのどん底にいる状態から発せられた言葉、つまり亜矢さんの気持ちだ。こんな時にも、「生きていれば、いつか楽しい時があるのだろうから。」と考えている。ここで私はハッとした。(この言葉、最近よく耳にしないか?)と考えてみた。いじめや差別、仕事上の問題など、様々な理由から自分の人生を終わりにしようと考える人達に与えられる励ましの言葉だ。テレビ番組などで、そういう番組が増えているからよく耳にするのだろう。苦しみの強さに順位なんてつけることはできない、ましてや自分が経験していない他人の苦しみを100%理解することは、正直無理である。私にできることは、その人の気持ちを想像することだけだ。もし亜也のように病気でどんどん自分の体が不自由になっていくとしたら・・・・・・言葉が出にくくなっていくとしたら・・・・・・亜也さんのように前向きな言葉は出てくるのだろうか?? きっと心の中は亜也さんだって不安でいっぱいなはずだ。健常者であった自分を身障者と認めることは決して簡単なことではないはずだ。「そして、身障者という重い荷物をひとりでしょって生きていきます。こう決断を自分に下すのに、少なくとも、1リットルの涙は必要だったし、これからはもっともっといると思います。」まだやりたいこともいっぱいあって恋もしたいだろうに、こんなに重たい決断を下さなければならない、自分を限りなく励ましながら生きていかなければならないのだ。
亜也さんのこの日記には「もっと強くならなくちゃ」という言葉が何度も何度も出てくる。自分のおさえきれない不安な気持ち、そして前向きな気持ちを言葉にすることで、日記に記すことで、生きてるという証にしたかったのかもしれない。
体が悪くなっていく一方、脳は活発に動いていることは周りからみれば救いと感じるかもしれない。しかし、亜也さんにとっては、その分辛い気持ちもたくさん感じるということにもなる。病気の人の立場に立つと、見えてなかった自分の思い込みや無知に気付く。きっと、人は幸せであることが一番だけど、幸せばかりの人生を過ごす人はいない。誰にでも辛いことはあって、それを乗り越えながら成長していくもの。しかし、病気の苦しみ、そして重度の障害を持つ人の苦しみは、全部の人が背負うとは限らない。亜也さんのこの日記は、そういう病気でない健康な私達に伝えてくれるものがたくさんある。亜也さんの前向きな言葉に出会うことで、「私はこんなちっぽけなことで悩んでいたのか。」と気付き、たくさんの元気をもらった。健康であることがどんなに大切なことなのかに改めて気付かされた。私にはやりたくてムズムズしていることややろうかやるまいか迷っていたことがいくつかある。今だけもなくて、私達は常に様々な欲求や迷いに追われていると思う。しかし、やりたくてもできない私達が普通にしている当たり前のようなことでさえできない人達がいて、それでももっと前向きに頑張っているということを忘れてはいけないと思う。「○○ちゃんもいい子にしていないと、あんなふうになっちゃうよ。」体が不自由でまっすぐ歩けない障害者を見て、子どもにこんな心ない言葉を発する人間には絶対なってはいけない。障害者を自分とは関係ない、変わった人、動作がおかしい人として見る人は、人と真っすぐに向き合えない人だと思う。かわいそうと思っても、心の中でどこか自分より下に見てしまう自分がいたかもしれない。恥ずかしいことだが、今まででこういう気持ちが一度もなかったことは言えない。自分が逆の立場だったらどれほど悔しいだろう・・・・・・。亜也さんの日記を通して、私の中の身障者に対する、また他人に対する気持ちを見直すきっかけができた。この本に出会い、亜也さんの言葉に元気づけられ、学んだたくさんのことをこれからの自分の人生に生かしていき、前向きな気持ちを忘れずに生きていきたいと思う。
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