優秀作品(6)

熊本大学
生命資源研究・支援センター
バイオ情報分野
荒木 正健

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2007年 4月30日更新


『イエスの遺伝子』(教育学部)

(1)この本を選んだ理由を書いて下さい。
 もともとミステリー小説が好きだったし、その中にSFの要素も含んでいたので、この本が一番受けいれやすいと思ったから。

(2)この本で著者が一番伝えたい事は何だと思いますか?
 今現在、遺伝子に関する技術がどんどん発達していく中で、宗教面や倫理面もきちんと考えていかないと、大変なことになるかもしれないということと、人は皆お互いに何かを与えあって生きているということを伝えたかったのではないかと思う。

(3)この本を読んで感じた事、考えた事を書いて下さい。
 この物語は「ジーンスコープ」という画期的な発明によって生じる倫理的や宗教面の問題を中心に進んでいくものだが、科学の急激な進歩によって起こりうる様々な問題について、とても深く考えさせてくれる作品だった。この物語の序盤の方で「ジーンスコープ」を発明した博士が自分の娘にそれを使うかどうかでもう一人の博士と対立する場面があるのだが、その場面がこの物語の一つの大きな山場であったと思う。
 そもそも「ジーンスコープ」によって遺伝子全てを解読して、人の肉体的な運命を全て知るという行為事体が異常であるし、解読結果によっては、その当事者の残りの人生を絶望して過ごせるということにもなりかねないと思う。ここで、私は考えたのだが、このような問題は現在の「ガンの告知」などの問題と大して変わらないのではないだろうか? そして今現在、「ガンの告知」が行われている現状を見れば「ジーンスコープ」の存在は、今より多くの病気を早期に発見できるかもしれないという点で現在の社会には受け入れられるのではないかと思う。
 そして、この物語の最も大きな柱となるのが、全ての病気・ケガを治療することのできる「キリストの遺伝子」である。この「万能薬」は倫理・宗教しいては地球の生態系にまで大きな衝撃を与える大変な問題である。この物語では最終的に、精神的な面で信頼のおける十二人に「万能薬」を託す結末であった訳だが、それが正しい選択か正しくない選択かは正直私には分からない。ただこの「万能薬=キリストの遺伝子」の効能に限って言えば、人間にとって本当に大切なものは何かということを思い出させてくれた気がする。
 しかし、このまま技術が進歩していけば、このような問題が出てくるのは避けられないだろう。


*****2006年度・優秀作品*****
冬休みの課題レポート・2006
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