優秀作品(8)

熊本大学
生命資源研究・支援センター
バイオ情報分野
荒木 正健

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2007年 4月30日更新


『1リットルの涙 難病と闘い続ける少女亜也の日記』(工学部)

(1)この本を選んだ理由を書いて下さい。
 以前、話題になったから。

(2)この本で著者が一番伝えたい事は何だと思いますか?
 もっと積極的に、力強く生きてもらいたい。

(3)この本を読んで感じた事、考えた事を書いて下さい。
 「脊髄小脳変性症」を発病した木藤亜也さんが14歳から21歳までに綴った日記を彼女の母が本としてまとめたらしい。亜也さんは25歳で亡くなったそうで、22歳以降も日記を書いていたらしいのですが、それは母親ですら判別することが出来なかった所がこの病気の残酷さを表しているように思える。
 文中では亜也さんの意志の強さと、周囲からの偏見、差別に多くを考えさせられた。病状が悪化し、養護学校へ転校せざるを得なくなってしまった時、高校の教師一人一人でも彼女への対応が異なっていた。彼女を勇気付けることが出来た方も居ればそうでない教師も居た。けして彼女を差別していた訳ではないだろう。むしろ彼女に気を使っていたようにも思えたが、上手く伝わらなかったようだ。他人の気持ちを察し、伝えることが、どれだけ難しいことであるか、考えさせられた。また、亜也さんが後に自分は周囲の人間に甘えていることに気付くが、受け手側の考え方も重要だろう。ただ健常者から障害者となってしまった亜矢さんには、多分に被害者意識が強かったと思われる。文中でも「病気はどうして私を選んだのだろう。運命なんて言葉では片づけられない」と言っています。その様な状態で自分が周囲にあまえているなどなかなか気が付けることではないだろう。私ならとても気が付けないと思う。十分に歩くことが出来ないにもかかわらず、電動車(椅子)を使ってしまえば、二度と歩けない気がすると頑張っていた彼女が電動車を使わざるを得なくなった際に、養護学校の先生が「あら、らくちんでいいわね」と言ったのは正直許せない。養護学校の先生がである。彼女は病院でも子供に向かって「言うことをきかないとああなっちゃうよ」と心ない言葉をあびせられたが、その何倍も許し難い言葉ではないだろうか。(どちらも許し難いが。)また、この事から病気・障害の認知度の向上では差別は取り除けないことが解る。それらの解決を図るには、社会や個人の意識の成熟が不可欠ではないだろうか。
 脊髄小脳変性症の遺伝性の割合は、全体の40%ほどであるそうだ。しかも、この病気の患者は、大脳の機能は正常である。健常者が出生前DNA診断について議論するのは結構だが、あまり説得力がない。彼らの様な人達のこそ、こういった議論の場に必要なのではないだろうか。


*****2006年度・優秀作品*****
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