2004年度 教養科目
I 自然と情報  生命科学G
−−夢の技術PCR−−

熊本大学
生命資源研究・支援センター
バイオ情報分野
荒木 正健
熊本市本荘2−2−1
Tel : (096) 373-6501, FAX : (096)373-6502
2005年 7月18日


2004年度期末テスト

[回答集]
<問3について>

(問2)古くから伝えられている「子供は神様からの授かり物」という考え方と、「生殖医療」は、かなり異質です。「体外受精」に関する技術も、自力で泳げない精子を針で卵子に注入する「顕微受精」、卵子や受精卵の凍結保存法、卵割した1個の割球からDNAを抽出してPCRを行う「着床前遺伝子診断」など、飛躍的に進歩しています。(C)のニュースを聞いて、あなたはどう思いますか?。

・100人に1人以上は体外受精児と聞き、かなり普及しているんだなと驚きました。心配なのは、実際10年後、20年後にならないと分からないことですが、彼らが、普通の人と比べて、病弱であったり、寿命が短くなったりしないかということです。(医学部)

・体内受精だろうが体外受精だろうが、産まれてきた命は一つのかけがいのない命であり何ら区別する必要もないと思います。(1)、(2)でも書いたように、人格は遺伝子では決まりません。だから私は体外受精には反対しません。ただ、多胎や未熟児の増加のような、医学的技術的問題のあるところは、早急に解決されなければならないと思います。(医学部)

・進歩するのは全然構わないですが、それ以上にアフターケアにも気を使わなければならないと思います。むしろ多胎・未熟児を減らす進歩の仕方の方が望ましいです。その方が問題も減ると思います。そういう規制なら政治においても行われるべきだと感じます。(医学部)

・体外受精児の増加については問題はないと思います。それだけ技術が進歩したり世間的に認められている証拠だと思います。いくら「子供は神〜」と言っても、できない人はできないのだから、否定するのは良くないと思います。しかし、後半の「倫理〜守っていない。」という問題は無視できません。これからもっと体外受精を望む人が増えるのならば、そのような施設のせいで被害にあう人も増えると思います。このような問題をなくすためにも、注意しないといけません。あと、自然にできる数が減っていくことが起こると怖いと思います。それだけ子供を望まない人が増えるということになるからです。(理学部)

・生物は高次に進化していくにつれ、生殖という観点から袋小路だと言える。(バクテリア・魚・両生類人類の順にみると繁殖能力の衰退がわかるはず)人類などというのはその最たるものだ。社会的にも複雑に進化したため、出生率は低下する一方だし、文明の毒を浴び、体に異常をきたし繁殖能力は低下してしまっている。そういう意味からいうと、(C)のニュースはまさに吉報である。あとは医療の質の確保だ。(医学部)

・熊本市でも、不妊治療を行う夫婦への助成制度があります。熊本市では10組に1組の夫婦が不妊に悩んでいる。という調査結果が出ていました。また、つい先日友人のお姉さんが体外受精で双子を出産したという話を聞きました。「生殖医療」は身近な問題なのだなぁ、と言うことを日頃から感じています。少子化が進む社会の影響もあって各自治体でも不妊治療を助成する動きをみせていることから、これからますます身近なものとなっていくのではないかと思います。しかし、遺伝子診断を行う際の「マーカー検査」や染色体を調べる「羊水検査」など技術の専門性は高くなってきています。この技術を一般にわかりやすく、浸透させるには、相当時間がかかると思います。しかし、これから医療が変わっていこうとしているので、その技術を説明する人が必要となってくるだろうし、また、私達もそれを理解していかなければならない…と思いました。(理学部)

・子供は神様からの授かり物という考えに反しますが、、体外受精を行うことに反対意見はありません。しかし、それは健康であったり、正常な赤ちゃんがきちんと産まれてきた場合であって、せっかく体外受精までして産まれてきた赤ちゃんが未熟児であったならば、大きなショックを受けるだろうから、医療の質を向上させるまではあまり行なわない方がいいと思います。(医学部)

・私もこの「神からの授かり物」という考えには賛成です。やはり、この命から新しい命が誕生しますので生物の最も神秘的な部分と言えるでしょう。確かに体外受精などの技術が発達してしまうと、神がかり的要素は薄くなり、「人からの授かり物」という考え方もできるかもしれません。しかし、ヒトは大事なことを忘れてはいけないと思います。体外受精は、不妊治療の手段の一つだということ、新しい命を誕生させる為の手段ではないということを。(理学部)

・体外受精までして産まれてきた子供は、親と血のつながりがないというようなこともあったりしますが、強く望まれて産まれてきたのでしあわせなのではないかと思う。(Aのような場合は除く) このような医療行為は人間の域をこえているなどとも言われますが、それで幸せになる人々が多くいるのであればそれは良いことではないのかと思います。倫理的な問題などさまざまな問題をかかえていますが、遺伝子技術は人類に大変有用なものになるはずです。(工学部)

・倫理規定を守っていないというのは問題としても、出生率の増加に関わることで、ある種喜ばしことではないかと思います。ただ、古くからの考え方は科学社会になってからほとんどがくつがえされて今の社会に合致していないことが多々あります。全てを人間が操作できるのは問題ですが、古来からの考えに縛られすぎるのもまた問題です。社会に適合した、新しい考え方を模索する必要があるかもしれません。(医学部)

・この1.3%の数字の大きさは、一つは、日本の近年の出生率の低さが関与していると思う。もともと段々減ってきていた中で、逆に技術は発展してきていたわけだから、子供を産めなかった人達の体外受精児出生率が上がったのではないだろうか?そういった意味では、日本の出生率に寄与しているのかもしれないが、(C)にあるように「医療の質」があまり保たれていないのでは問題だ。最近あまりに多く報道されていることなので、もっと、簡単に全てが上手くいくものと思っていた。この技術はいい加減に扱っていくべきものではない。普及や規制をするならば、もっとちゃんとせねばならないと思う。(医学部)

・不妊治療の一つの対応方法としての体外受精、人工授精は医療技術の進歩だと認められるとともに倫理的な問題も増えていくと見なされます。やはり、医療技術はどこまで進歩していいかという「度」の問題ですね。(文学部)

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[問題]
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<問2について>
<問3について>
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