2006年度 教養科目
I 自然と情報  最前線の生命科学C
−−夢の技術PCR−−

熊本大学
生命資源研究・支援センター
バイオ情報分野
荒木 正健
熊本市本荘2−2−1
Tel : (096) 373-6501, FAX : (096)373-6502
2007年6月8日


2006年度期末テスト

[回答集]
<問2について>

(問2)少子化が問題視されている今の日本において、「死後生殖」も重要なキーワードになると思います。ニュースBを読んで感じた事、考えた事を書いて下さい。 

・日本産科婦人科学会が提案するガイドラインに賛成する。確かに突然命を落とすことで望む相手との子どもができないのは残念なことだが、もし死後の凍結精子利用を認めるならばおそらくビジネスとして利用されると思う。実際、この講義で配られた資料で遺伝子(DNA)を調べることで本当の親を断定できる技術についてあったが、そこには金額も明記されていた。裁判になった例があるように、今後一層凍結精子の要請が高まるかもしれないが、日本では「「死後生殖」」を禁止してもらいたい。 (教育学部)

・生前に精子を保存しておき、提供者が同意した人物(≒配偶者)に限定して死後生殖が行われているのなら、問題無いと思う。そうでないと提供者の意志にかかわらずに精子が採取され、提供される側にとって都合の良い、精子(卵子)バンクのようになってしまう、と思うからだ。(工学部)

・私はこの「「死後生殖」」には反対です。倫理的に間違っていると思います。昔から人間の家系は繁栄したり途だえたりをくり返してきました。途だえることもまた、その一族の運命だと私は思います。それを死んでから子孫を誕生させるというのはどう考えても普通じゃないし、自然では100%おこりえないことです。いくら日本で少子化が問題視されているとはいえ、これはやってはいけないことだと思いました。また、最高裁が「氏法は死後生殖を想定してない」として請求を退くとありますが、想定してないからだめだとする立場はどうかと思います。政府この問題に限らずあらゆる問題においてはっきとした明確な立場をとるべきだと思いました。(教育学部)

・「死後生殖」まずこの言葉の響きを聞いただけでも、おぞ気が立つような、うすら寒いような感覚がするのは私だけだろうか?「愛しい人が死んでしまった。私は彼の子供が欲しい」というような言葉は一見同情にあたいする、共感できるものに思われる。しかし、“彼の人”は文字通り“彼の岸の人”なのだ。思想的な言い方をしてしまえば、あの世の人とこの世の人の間に子供ができる、ということ。極論に走ってしまえば、私たちは子孫をふやすのに“生きて”なくてもよいことになる。そしてそのことは“生物”としての“人間”を根本から否定することではないか?生きている内に生殖をしない生物。こんな不可解な存在が誕生するということになる。(文学部)

・日本の法整備にひどく憤りを感じた。最高裁の「民法死後生殖を想定していない」との判決には怒りを通り越して呆れてしまった。民法が制定された頃には死後生殖なんて想定していなくて当たり前だ。問題はそこではなく、想定外の事態が起きた時、裁判所はどのような判下を下すのか、だ。法整備が技術と平行して進んでいくことは有り得ないのだから「想定外」時にどのような対応をするのかをこの際一度決めておくべきだ。裁判官の独断で悪い前例を作ることを恐れているのかもしれないが、このように説得力のない判決を出される方が、司法権の権威を下げることにつながるだろう。(薬学部)

・死後生殖に関する問題を考える上で最も念頭におくべきことは、何のために死後生殖が認められたケースではその地域が戦争という、いつ死ぬかわからない状況にあった。このような場合、本人の意思、たとえば子供が欲しいとか、精子を保存しておきたいという希望がきちんと形として確認できれば、死後生殖は問題ないと思う。ただ、それを日本で行うとなると、また話は別だと思う。現在の日本では少なくとも普通に生活している限り、今日明日いつ殺されるかわからないという状況になることはまずない。少子化対策がどうのというならまずは女性が安心して子どもを産める社会的体制づくりや施設の設備、法的な整備を行うことが先だと思う。しかし、白血病などの治療によって子どもを産めない体になってしまう人がいるのは事実である。その人たちは、決してなりたくてそうなったわけではないので、何らかの救済そちが必要だと思う。この場合たとえば患者にすでに夫や妻がいて、両親が子どもを臨んでいるという場合、そしてそれが確固たる形として示される場合には死後生殖を認めてかまわないと思う。(教育学部)

・初めの6文を読んだ時点では、男性本人の遺志もないまま両親の希望で、しかも両親が見つけた女性との子供を産ませたいということに反感を持った。生まれてくる子供は結局お母さんもお父さんもいなくて、おじいちゃんとおばちゃんだけになるのだ。それはおかしい。7行目で男性が子供をほしいと言ったのは、死後生殖をふまえての発言としても、やはり責任は両親でとればよいという訳にはいかないと思った。判決で認められ、それでよい部分、その分生まれてきた子供を大切に育てようという気持ちはあると思うが、その子供には本当に幸せになってほしい。死後採取を希望した兵士が100人以上というのにも少し驚いた。日本では白血病の患者が凍結保存する場合があるということだが、そういう病気の人の立場になると絶対反対とは言い切れなくなってしまう。ただ、少子化は自分には直接関係ないとしても重要な課題なので本人の強い希望の場合は考えた方がいいのかなと思った。(教育学部)

・もしもある家族に子供がいない状態で、夫が死亡してしまった場合でも可能であるなら子孫を残したいと考える人は多いと思います。それを現実のものにしてくれるのが、「死後生殖」という技術だと思います。しかし、この場合、基本的には夫にあたる人の意志はたしかめることができないという欠点があります。そのためにも、たとえばドナーカードのように自分の意志を死後に伝える手段をとるべきだと思います。このように文書などを生前に書いた人のみ「死後生殖」が可能であるという形をとるべきだと思います。「死後生殖」自体はこの少子化でとても役に立つ技術なので、たいせいをととのえた上で実行するべきだと思います。(工学部)

・このまま法的整備を行わないのであれば、死後生殖は行うべきではないと思う。というのも、そうでなくても今現在では子供と親との間で様々な問題が起きているのに、死後生殖で生まれてきた子供が増えれば必ず親と子供の関係が今よりさらに複雑なものとなり、捨てられたり戸籍がない子供が増えていくのではないかと思うからです。もし、きちんとした形で法的整備をとるのであれば、またそれによって、色々な問題が起きないようにできるのであればかまわないと思うが、実際問題それは難しいと思う。(教育学部)

人間も動物であるのでどうにかして子孫を残したいという思いは強いと思います。だから「死後生殖」でもいいから子孫を残そうとするのだと思います。しかし、その生まれた子供が亡くなった人の子供であるかどうかはとても重要だと思います。それが認められないとなんのために精子を凍結保存したんだ、ということになります。人生の中で名誉を残したり、すごいことをやりとげたり、人と何か残したいと思いますが、一番その中でやらなくちゃいけないことは子孫を残すことだと本能的に思うと思います。それだけ重要なことではないでしょうか。(工学部)

・子供を自分の死後も残したいという思いを「民法は死後生殖を想定していない」として退けたのはおかしい。民法は国民の利益のためにあるものだと私は考えているので、その民法によって人間の意志が退けられるのは間違っている。その時、イスラエルでの判決はこれからの死後生殖の在り方の第一歩だと思う。医療技術がどんどん進歩する中、民法など法整備が大きく遅れをとっている。(文学部)

・この方法は思いつかずに驚いた。これでは次第に生命倫理というものが意味を成さなくなるのではないかと感じた。私はこの方法つまり「死後生殖」に賛成しない。確かに今は少子化が進んで日本は社会を支える労働力を失いつつあるが、このように人工受精によって人類をつなぐようになった時、もう人は生きるべきではないのではないか。生まれてくる子供は家族構成のひずみに心の支えをなくし、必ずそれは社会の中で傷となって現れ出すだろう。もはや人工受精というのは人類として、生命として行ってよいことの限りを越えている。生命を思いのままに操ることを人間が都合のよい言葉にいいかえただけであると考える。(文学部)

・私は死後生殖は行うべきではないと考える。なぜなら、そのようなことをしたら世の中の血縁関係がめちゃくちゃになってしまうからである。例えば、もしかつての独裁者などの精子を保存していて、現代に人工受精でその人の子孫を作ったら、どんなことをやり出すか分からない気がする。確かに子孫を絶やすことはなくなると思うが、自然の習わしでは生きている者にこそ子孫を残す権利があるはずなので、死後生殖は人間の勝手としか言えないと思う。(文学部)

・イスラエルの例はとても考えさせられます。戦争や民族紛争で命をおとしているので、私は明確にどちらが良いとは言えないと思います。日本の場合はケース・バイ・ケースだと感じました。退けられた側の気持ちは計るに知れませんが、白血病の患者の場合は、仕方がないというか認めても良い気がします。新しい技術なので今までの法律で想定されてないことが起きても当たり前です。外国の例などでも吟味して早急に法律を整備する必要があります。しかし、法律は人々を拘束するために作られるのではなく、人々を幸せにするため作られるものなので、その辺はしっかりと考えてほしい。(教育学部)

・亡くなった本人の意志で、死後生殖を行うことは私は別にかまわないと思います。不幸な事故などで突然亡くなった人の子供がほしいと思うのは当然あると思います。しかし、ニュースBのように亡くなった本人と子どもを生む女性に何のつながりもなく、子どもを亡くなった人の両親が育てるようなケースとなると、代理母のように子どもを生んだ後にやはり子どもは自分の手で育てたいという女性も出てきて、問題が起こることは簡単に想像できます。こういった場合の配慮が完全にできていない状態で死後生殖を認めるのもあまり良くないと思います。(工学部)

・自分の子孫を残したいとする男性の気持ちは分かる。でもそれはその人のエゴのように聞こえる。父親も死んで、母親も全く知らなくて、自分が何をしても責任を問われないような人を子どもが果たして親とよぶだろうか。家に帰っても祖父母が出迎えるばかりで実際の両親には会うことが出来ない。そんな子どもの辛さを考えるなら、やはり自分が死んでから子どもを作るなんてことはしてはいけないと思う。(教育学部)

・ニュースBの中で、民法は死後生殖を想定していないという理由で子と親との親子関係を認めないという判決が下がっているが、死んでいるにせよ、親であることに変わりないのだから、親子関係が認められない法を整備した方が良いのではないかと思う。ドイツやフランスなどでは死後生殖は認められてないらしいが、私には禁止する意味がわからない。米国、英国、スペインなどのように、生前の同意があった上での死後生殖は、世界で認められるべきではないかと私は思う。(教育学部)

・子供が欲しいという意志があれば、死後も子孫を残せるならば、確かに少子化にはどめをかけるように思えた。しっかりと、法を整備し、死後生殖のための手続きを決めれば、子供の出生率も上がると思う。しかし、自分の子供というのは、出産したら終わりではなく育てることも重要だと思う。子供からしたら、自分の父親が生まれてくる時には死んでいて、寂しい思いをすると思う。また、個人的には子供が欲しいということは単に子孫を残すだけでなく、生まれてきた子供と一緒に生きていきたいということだと思っているので、死後生殖を希望することはないと思う。(工学部)

・イスラエルの両親の意見や考えには私は同意しかねる。子孫を残したいという気持ちはわかるが、見ず知らずの女性に人工受精させ、出産してもらうというのは少しおかしい。以前出た代理出産では愛し合う両親がいて、子供が欲しいという願いから代理出産がなされたが、死亡したイスラエル兵士には子供が欲しいという希望は確認されておらず、産まれる子の両親に愛情はない。たとえ祖父母が育てるといっても、父は死に、また父から無断で精子を採取し、父が知らない女性に妊娠させ産まれたのが自分と知ったら、子供への負担はかなり大きいと思う。世間の冷たい目からも耐えなければならないので、日本では母(妻)がいない限りは死後生殖を認めるべきではないと思う。(教育学部)

・死後生殖には絶対に反対です。理由は親が死んでいるのに、産まれてくる子供がかわいそうだからです。Bの資料では、死んだ息子の両親中心に話が進んでいますが、産まれた子供は父親がいないという事実を無条件に受け入れなければいけません。その両親は孫のことをあまり考慮に入れてないので許せません。それよりも不妊治療の方が少子化対策として受け入れられます。死後生殖は認めなくてもいいと思います。(薬学部)

・生物は共通して生きている理由として種を残すという重大な役割がある。人間ももちろんそうである。僕は安全であるなら死後生殖には賛成したい。種を残したいと考える人の気持ちを無駄にはしたくないからである。ただ、倫理の問題としてどこまでふみこえるべきではないかということも重要な要素となってくるだろう。もし、自分が明日死ぬことになったら「死後生殖」を頼むだろうと思う。日本では未だこの事柄に対する法はできないようだが、この先、早く法を立てなければならないと思う。(教育学部)

・(問1)とも重複するが、科学の力でそんな簡単に子供を作る事が可能になってもいいのだろうか?と人々に問いたい。死後生殖も人工的に受精であることは変わりなく危険性もある。その上、いくら少子化だからといってそのようなあまりにも簡単に子供を作ることは命を作るということでそれは命を軽んでることにつながる可能性があるということだ。そのポイントを考えていけば、命に関係するあらゆることに手を出すのは良いことだと言えるか。私はそうは言えないと思う。なので死後生殖には反対です。(薬学部)

・「死後生殖」について今回初めて知った。法律が作られた当時は、こんなことができるようになるなんて想像もしなかっただろうから、問題が起きるのも当然である。僕も早急に法整備をするべきだと思った。ただこの「死後生殖」というのは、いくら本人の子供とはいえ、その人は死んでいるのだから、簡単に許していい問題ではないと思う。「凍結精子の保存は本人の生存中に限る」という案には僕も賛成である。(教育学部)

・イスラエル兵士の話は、両親の一方的な意志であり、こどもを生む女性、そいて何より生まれてきた子どものことを何も考えていないと思う。生まれてくる子どもの責任は両親にだけ生じると書いてあるが、両親にとってはそれで良くても生まれてくる子どもは、これから大変つらい思いをすることになるだろう。もし、夫婦のどちらかが死亡して、生前お互いに子どもを生む意志があった場合は、死後生殖は行なって良いと思うが、イスラエル兵士のような場合は生まれてくる子どもの立場から、認められるべきではないと思う。(教育学部)

・このイスラエル兵士の”子供がほしい“という言葉は、ただ、単に自分の遺伝子を残せばそれでいいということではなく、自分が愛する人との間で作りたいという意味なのでは、と思います。結婚していて不妊の恐れを感じて凍血精子や卵子を保存しておく場合は、生まれてくる子供も正式な両親が居るので安心だと思いますが、今回の件では生まれてくる子供は正式な両親がおらず、とてもかわいそうだと思います。兵士の両親が、息子の子供を残したいと思うのは勝手ですが、それで生まれてくる子供の気持ちを一番に考えて欲しいです。父親、母親と呼べる人がいないのは本人にとって悲しいことだと思います。(医学部)

・「死後生殖」という考え方は初めて聞いた。ニュースでは戦争地域であるイスラエルの話だったので、本当に切迫した状況である。日本は戦争地域でないし、年間多くの若者が命を落としているわけでもない。だが少子化の現状では1人でも多くの子供が望まれている。私は死後生殖には賛成だ。それはもちろん少子化ということもあるが、死の可能性がある人にも子供を持てるという選択肢を与えてほしいという願いが大きい。わたしも子供が大好きだし、絶対に欲しいと思う。もし、自分が死を宣告された場合死後生殖ができるなら自分の一番愛している人の承諾を得てその人に生んでもらうと思う。配偶者じゃないといけないと言うよりも、相手の承諾が一番だと思う。ニュースでは親が選んでいるようだが、それが本人の意思でないというのは少し気にかかる。本人が子供を望み、生む相手の承諾もとれているのならなるべく早く法整備を進めて認められるようになって欲しい。(文学部)

・本人の遺志があるのなら死後生殖は認めるべきだと思う。本人は子孫を残したいと思っても実現できない場合はよくあると思う。日本の場合、戦争で兵士として戦地に行って死亡するということは今のところないが、事故や病気で子孫を残す前に亡くなるということは多い。そのような時に備えておくのは少子化のことを考えても大事なことである。生前の本人の同意と産んでくれる女性があれば、死後生殖は現実的なものとして考えていくべきだと思う。(文学部)

・私は生前の同意があれば「死後生殖」を認めてもいいと思う。ただ、死後生殖で生まれた子供への心のケアーは体外受精の場合以上に必要になると思う。私が自分で「私は母が30、父が31の時に生まれたんだな」と考えることがあるようにほとんどの人が自分は両親が何歳の時の生まれたのか考えたことがあるのだろう。子どもがそう考えた時に、自分が生まれる前から父は死んでいたというのは複雑な気持ちになると思う。自分の子孫を残したいという欲求は理解できるが、相手に誰でも構わないとか、自分で育てることができないのに子孫を残そうとするのはおかしいと思う。だから私は死後生殖は生前の同意があり、配偶者間でのみならば認めてもいいと思う。(文学部)

・このイスラエルでの裁判、私には良い事なのか悪い事なのかよく分からない。この話では戦士したイスラエル兵士は妻がいるわけではなさそうだ。そして両親が「自分らの孫を産んでくれませんか?」と産んでくれる人を探すというのは私にとってはとてもおかしいと思う。死んだ本人の希望とその配偶者、または付き合っていた人の自ずからの意志をもって「死後生殖」というものは認められるんじゃないかと思う。(工学部)

・まず、死後生殖と少子化をあわせて考えるのは、倫理感に欠けていると思います。確かに、死後生殖を認めれば、その子どもが増えるかも知れません。しかし、少子化改善の一手として、これを認めるというのは、あまりにも子供を残すという概念からかけ離れていると思います。少子化対策としてこれを認めるという位なら、少子化する方がまだましだと思います。しかしながら、子供を望んでいたが不慮の事故で配偶者が亡くなったり他のニュースの日本人のような事例であれば、認めて良いと考えます。私の中ではこの問題と死後の内臓移植の問題は、あまり違いがないかと思います。(理学部)

・イスラエルのような戦争の起こっている国ではいつ死ぬかわからないので精子を保存するのはわかるが、日本ではそのような状況ではないので、今のところそういうことをする必要ないのではないかと思った。(薬学部)

・自分は死後生殖には賛成です。本人が生前にその事に対して否定的であった場合は別ですが、そうでないのなら良いと思います。ひどい言い方になるかもしれませんが、大切なのは生きている人々であって、死んだ人の配偶者や両親が望んでいるのであれば、死んだ人の事よりも生きてその人の子が欲しいという思いを優先させるべきだと感じました。(工学部)

・現在、人間ができるようになったことは本当に限りなく進行形で広がっていると思います。その1つが死後生殖だと思いますが、技術の進歩に法がついていけないために起きた問題だと思います。講義の中でも死後生殖で生まれた子供が、父親との親子関係を認めないという判決が出たという話がありましたが、今後、同じようなケースは世界的に増えてくると思います。日本でも死後生殖が可能で生前に同意しているのならば、認めるくらいにすればいいと思います。(薬学部)

・私はこの「死後生殖」については絶対反対である。その理由は、親の立場では自分の子供が欲しいから、自分と配偶者の間に子供が欲しいからという理由で「死後生殖」を望むのかもしれないが、生まれてくる子供の立場を考えると死んだ人の子供で、生まれてくる時には絶対に片親、または親がいないという状態であり、親の愛情を受けずに育つことになり、苦しいと思う。(教育学部)

・日本の凍結精子の保存は本人の生存中という考えは、古い考え方を無理矢理現代にこじつけるように感じる。生殖補助医療の進歩を考えれば現状に適すように法律を改めるべきだろう。また、イスラエルの事例で、全くの第三者に死亡した息子の子供を産んでもらうという例が増えれば、米の代理母出産の件の様な問題も起きるだろうし、更なる予期せぬ事態も起き得るだろう。現存の法律は、現状に追い付けていないが議論を重ね、現状から一足先じているのが、本来望ましいと考える。(工学部)

・Bのようなニュースはめったに日本では聞かれない。「死後生殖」という単語も初めて用いた。これを認めてしまうと確かに「民法」上非常にやっかいな問題が出てくることは目に見えている。なぜなら、夫の遺産を妻とその夫の家族で分ける場合と妻とその息子、家族で遺産相続権があるのか?という議論が出てくるはずだ。確かに白血病の方々が子孫を残したいという意志は大切なものであるが、今の日本では数が少ないので時間がかかると思う。(教育学部)

・このイスラエルの判決には同意しかねます。この死んだ男性の両親は少し強引すぎるように思う。その男性の血を受け継いだ子供というのは、本来その男性と夫婦の関係にある女性との間だけに関係するものであって、いくらその男性の親だからといって、そこに踏み込むのはいけないことだと思う。まして、その男性に死後生殖の意志がなかったのなら、なおさらダメだと思う。しかし、日本での事例については、その夫と愛し合っていた(だろう)妻が、死後生殖をしたというのは2人の子供として認めてあげて欲しい。日本は、生命科学の発達にともなって法的な整備をもっと行う必要があると思う。(薬学部)

・私は「死後生殖」は生前に同意をとっているならば、いいと思います。しかし、現在の法律ではそのようなことを想定していなかったと思うので、産まれてくる子供のためにも法律の整備は必要だと思います。(工学部)

・「死後生殖」自体は賛成だが、私は絶対に利用しない。子孫を残すという本来の目的にそっているため賛成としたが、個人的には子供を産むというのは子孫を残すということではなく、私と子の成長だと思っている。生きていなければ意味がないのだ。(工学部)

・父親については、本人の正式な同士が生前に示されてあれば良かろうと思う。しかし、母親については正直賛同しかねる。こう言うと「男女平等」の立場とやらからの反発がありそうだが、子を実際に産むのは、まぎれもない母であり、女である。母親の「死後生殖」を認めた場合、子は母親の顔も知らなければ母の胎内(代理ではない)も知らずに育つことになるが、それは少し残酷であるように思われるのだ。はっきり言えば、子にとってより重大な存在は父でなく、母なのだ。この徹底した「母の不在」は、子の心に影響がないとは思えない。(法学部)

・紛争の絶えないイスラエルと、今の日本では状況も大分異なるだろうが、今の日本においては配偶者が亡くなった場合に限り有効だと考える。問2で述べたようにこの場合も体外受精の延長線上に位置すると考えられるからだ。しかし、未婚の人にも適応しだすとそれは単なる精子提供ということになりかねない。それゆえに既婚者に限るべきだ。(教育学部)

・自分は死後生殖については基本的に反対です。本人が生存している時に自分の意志で希望するのは本人の意志を尊重したいのですが、本人以外の希望で死後に精子を凍結したい体外受精させるとなると、生命としてそれで良いのかと考えてしまいます。生命倫理に反していることだと思いますが、若くして息子を亡くしてしまった両親のことを考えるとこれで良かったのかなとも思っています。(工学部)

・少子化は問題であるが、精子を保存してまで子供を作るのは反対だ。父親が亡くなってから産まれてきた子供は本当の父親には二度と会えない。もし、自分がそうであったら嫌だ。この記事を読んでいて「子供は作るんではなくて“授かる”ものなのにな…」と思った。(教育学部)

・少子化を改善するには、男女の「新しい生命」に関する意識を変えていくことが必要だと思う。Bを読んで思ったことは、イスラエルで起こった例の場合、男性の方は子孫を残したいという意志を持って死んだけれど、人工受精を行なう相手(女性)が配偶者以外の場合、問1でも述べたように、やはり産まれてきた胎児に何らかのリスクがつきまとってしまうと考える。日本での例も、生命倫理の観点からすると、死後生殖で産まれた子供を父親と親子関係にするのは妻の願いであれ難しいと思う。米国や英国、スペインでは、夫の生前同意などの条件付きで死後生殖を認めているか?もう少し生命についての観念みたいなものを考えて欲しいと思う。(教育学部)

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[問題]
[回答集]
<問1について>
<問2について>
<問3について>
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